これを見ずして富士山を語るな!(1)
ロゲイングの準備をしていると、地域の思わぬ掘り出し物に出会うことがある。1980年代以来、富士山麓には多様な関わりをしてきたつもりだが、改めてその奥深さに触れた。
富士山周辺には多くの浅間神社があるが、なかでも山宮浅間社を見ずして富士山を語ることはできない。富士宮や富士吉田、御殿場に浅間神社があることを知る人は多いだろうが、おそらく山宮の浅間社を知る人は少ないだろう。しかし、山宮浅間社は、れっきとした世界文化遺産候補としての富士山の構成資産の一つなのだ。
何がすごいって、何もないことがすごい。つまりこの浅間社には本殿がないのだ。山門風の建物を抜け、階段を上がると、小高い尾根の先端に遙拝所があって、その先に富士山そのものが見えるのだ。つまりこの浅間社は、山体そのものを拝礼する古代の信仰の名残をとどめている唯一の浅間社なのだ。
自然遺産登録に失敗した富士山。平成25年の文化遺産登録を目指している。所詮コニーデ、それ自体に唯一普遍的な価値があるとは思えない。しかし富士山は3000m以上の山に誰でも登れる可能性があり、また1000年を越える宗教的な登山文化を持つという点で、世界的にも特異な山だ。文化遺産としての候補推薦も当然だと思う。遙拝所の前に立つと、古代人の心性が忍ばれるという点でも、この山宮浅間社こそ、真っ先に訪れるべき場所だと言える。
▲これが遙拝所。残念ながらデジカメでは富士山が見えないのだが、それこそ好都合。ぜひご自身の目で見てほしい。場所、周囲の状況があってこその富士の眺めなのだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント