めかぶ
トレーニングの伝道師山本圭一さんは、震災後宮城にボランティアに来ていたが、とうとう雄勝に住民票を移し、漁師をはじめてしまった。もちろん、そこは山本さんのことだから、単に原状復旧の復興ではなく新しい未来につながる復興にしなければならないということを地元の人との関わりの中で強く感じ、元々漁師町であった雄勝に新しいスタイルの漁業を根付かせたいと考えてのことだった。
「いい山があるんですよ」と誘われて、仙台での講習のついでにやってきた。到着するなり、彼らが養殖しているとれたてわかめのしゃぶしゃぶ!の夕食。翌日は、雪の残る雄勝の山を一周。東北の山らしいのびやかな稜線が印象的。トレイルは全くないに等しいが、稜線上はある程度切り開かれている。手入れすればトレランに限らずトレッキングにも使える手頃で素晴らしいトレイルになるだろう。元々過疎の中で震災により人口が激減してしまったこの地の復興には人を惹きつけるものが必要だ。ランナーや登山者という限られた人種かもしれないが、このトレイルはその潜在的な可能性を持っている。いっそのことトレランランナーをボランティアで募ってトレイル整備から関わってもらったらどうだろう。自分の作ったトレイルでレースが走れる。これほど充実感を感じられるイベントがあるだろうか?
山の中には随所に古い小径の跡が残っている。それは決して珍しいことではないが、ダブルトラックの幅員を持ち、しかも几帳面に一定勾配で、廃線跡でもあったかのようなのだ。そこまで手を掛けたのはなぜ?
疑問は、帰りによってくれた硯製作所で解けた(雄勝は硯に適した石を産出するので、有名な産地らしい)。かつて、山の中でそうした岩を切り出し、人力でそりに載せて降ろしていたのだ。だからこそ一定勾配の小径が必要だったのだ。そうした小径をリサイクルしてランナーや登山者が楽しむ。とっても素敵なプロジェクトになりそう。
おなかをすかして下山すると、山本さんの同居人浜ちゃんが昼食を作っておいてくれた。採れたてのめかぶ!玄米にこいつを載せて、ちょちょっとしょうがとポン酢をかける。今年一番の贅沢な時間だった。
▲めかぶと玄米というシンプルな昼食。なんだかとっても健康になれそう。
▲山中に残る、見事なほどに一定勾配の小径跡。雄勝の歴史が垣間見られる
▲雄勝の遠藤硯店にて。学校教育時代はあんなに嫌いだった書道をやることにして、硯を買った。人間どう心が変わるか分からないものだ。
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