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2012/02/27

当たり前

 週末二日間の仙台でのオリエンテーリング指導員の講習が終わった。仙台と言えば東北大と宮城女学院が熱心なオリエンテーリング活動を続けているが、社会人オリエンティアが多いとは言えない。学生にとっては直接メリットがあると思えない指導員の講習に多くの参加は望んでいなかったが、結果的に学生だけで20名の参加があった。
 予想した以上に彼らは熱心に話しを聞き、休み時間には質問までし、実習に積極的に参加してくれた。クイックOで動きについてアドバイスして、やりたい人はじゃああと5分練習、というと練習を始め、確実に改善された動きを見せる。最後の振り返りでも、講習の目的を的確に把握したコメントが帰ってきた。講習は拍手により締められたが、さらに大学生だけで集まってお礼の挨拶に来てくれた。その挨拶が泣かせる。「僕たちは日本のオリエンティアを増やし、オリエンテーリングを盛んにしたいと思っています。新入生もできるだけ多く勧誘したいと思っています。今回講習を受けたことで、来年はより一層新入生を獲得できると思っています。」
 クラブのメンバー獲得の先に日本のオリエンテーリングの発展を見据えている。東北大と宮城女学院のクラブは、メンバー数やインカレ出場数で他の大学を圧倒し、この1年のアクティビティーの高さは目を見張るものがあった。その秘密はどこにあるだろうと考えていたが、その答えは最後の挨拶にあった。これだけの志があれば、それは当たり前の帰結にすぎない。

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2012/02/26

モティベーション

週末は仙台でオリエンテーリングの指導員講習会だった。参加費も安く抑えることができたので、できるだけ学生にも来てもらうよう、「新勧、新人教育にも役立つ、就活にも役立つ」というPR文句で募集したら、東北大から13人、宮城女学院から7名が参加し、総参加数25人という嬉しい結果になった。「オリエンテーリングの魅力を簡潔に初心者に伝える」「実際のコースを想定して、指導内容を計画する」などは、誇張抜きに新人教育や就活にも役立つだろう。

 初日の午後は、屋外で指導実習を行う予定だったが、あいにくいの雪で屋内で模擬的に指導するやりかたに切り替えた。問題は、屋外実習を行う予定の12-14時は会場を借りていない点だった。事務局の方が、午前中の会場の市民センターの廊下部分は使ってもよいという承諾をとってくれた。三々五々廊下の隅に集まりグループで指導計画を立てる。あまり集中できる環境とは言い難く、正直不安だったが、彼らはなんでもないかのように、熱心に作業を続けた。

 劣悪な環境下でもモティベーションが全く低下しないのはさすがであった。新勧では、新入生の総数より多い7000枚のビラをまいたりはったりし、校内23カ所に立て看板を立てるという。そうした原動力を彼らの受講の様子から垣間見ることができた。

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▲廊下の片隅で指導計画づくりに集中する受講者(こちらは宮城女学院)。劣悪な環境下でもモティベーションが低下しないのがさすが。

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2012/02/24

めかぶ

 トレーニングの伝道師山本圭一さんは、震災後宮城にボランティアに来ていたが、とうとう雄勝に住民票を移し、漁師をはじめてしまった。もちろん、そこは山本さんのことだから、単に原状復旧の復興ではなく新しい未来につながる復興にしなければならないということを地元の人との関わりの中で強く感じ、元々漁師町であった雄勝に新しいスタイルの漁業を根付かせたいと考えてのことだった。
 「いい山があるんですよ」と誘われて、仙台での講習のついでにやってきた。到着するなり、彼らが養殖しているとれたてわかめのしゃぶしゃぶ!の夕食。翌日は、雪の残る雄勝の山を一周。東北の山らしいのびやかな稜線が印象的。トレイルは全くないに等しいが、稜線上はある程度切り開かれている。手入れすればトレランに限らずトレッキングにも使える手頃で素晴らしいトレイルになるだろう。元々過疎の中で震災により人口が激減してしまったこの地の復興には人を惹きつけるものが必要だ。ランナーや登山者という限られた人種かもしれないが、このトレイルはその潜在的な可能性を持っている。いっそのことトレランランナーをボランティアで募ってトレイル整備から関わってもらったらどうだろう。自分の作ったトレイルでレースが走れる。これほど充実感を感じられるイベントがあるだろうか?
 山の中には随所に古い小径の跡が残っている。それは決して珍しいことではないが、ダブルトラックの幅員を持ち、しかも几帳面に一定勾配で、廃線跡でもあったかのようなのだ。そこまで手を掛けたのはなぜ?
 疑問は、帰りによってくれた硯製作所で解けた(雄勝は硯に適した石を産出するので、有名な産地らしい)。かつて、山の中でそうした岩を切り出し、人力でそりに載せて降ろしていたのだ。だからこそ一定勾配の小径が必要だったのだ。そうした小径をリサイクルしてランナーや登山者が楽しむ。とっても素敵なプロジェクトになりそう。
 おなかをすかして下山すると、山本さんの同居人浜ちゃんが昼食を作っておいてくれた。採れたてのめかぶ!玄米にこいつを載せて、ちょちょっとしょうがとポン酢をかける。今年一番の贅沢な時間だった。

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▲めかぶと玄米というシンプルな昼食。なんだかとっても健康になれそう。

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▲山中に残る、見事なほどに一定勾配の小径跡。雄勝の歴史が垣間見られる

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▲雄勝の遠藤硯店にて。学校教育時代はあんなに嫌いだった書道をやることにして、硯を買った。人間どう心が変わるか分からないものだ。

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2012/02/19

アラジントレラン部読図講習

トレラン部の行事として「ランナーのための読図講習」を行った。座学2時間、屋外3時間。屋外では店長の河合さんがついてくれるとは言え、基本的には1人で20人。当然目が届くわけもない。先週リスク管理の講習を受けたばかりなので、まずは安全確保のことを考えた。そこで二人組バディーシステムを取った。「相手の安全はあなたが守るのですよ」。こうすると自然に二人が粒子になるので、20人でも意外に簡単に人数が把握できる。移動では登山の時のように手取足取りをしなかった。基本的に一本道のルートなので、地図で示した場所まで、二人で行って止まってください。途中何が確認できるかをまず互いに確認しあってからスタートし、途中では分かったものを二人で声に出して確認しながら行ってください。という形にした

 漠然としたものを口にすることで、地図からの読み取りも促進されたように感じた。参加者の様子をみても期待以上にうまく機能したようだ。日頃多少なりとも会っている人がいたことや明らかに読図力に優れた数人のコアなメンバーも大きかったかもしれない。

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△二人組だと話しが弾む♪

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2012/02/14

防災の出前授業

大井川地区の小学校で地震防災の出前授業をした。海抜約4m。ハザードマップの浸水想定域外とは言え、近隣には高台は全くない。それは真剣にもなろう。

 たった45分の授業だから、全てを伝えることは最初から諦めた。「不安のままで終わってしまうかもしれません。その先どうしたらいいかは、学校にお任せします。」と念を押しての授業だった。

 地震動が来た時部屋がどうなるか、自分はどうしたらいいかは、静岡の子どもだけに教育が行き届いている。地震後1時間程度は津波の可能性があることもほとんどの子が書けた。ではその先は?ライフラインが止まる。明かりが必要。それから・・・・

 高学年とは言え小学生に書けないのは無理もない。書けても彼らには現実的な対処は難しいだろう。教職員にこそ受けてほしい授業だったが、「子どもたちがその後のことをイメージできないことがよくわかりました」という教員の感想が聞かれただけでも、やった甲斐があったというものだ。

 防災教育に興味を持つ学生4人を連れて行った。車中の会話もまた刺激的だった。先週末の講習会でみた閖上地区でお年寄りの救助に時間を費やし、自分は助かったものの、奥さんを亡くした男性が、「(見捨てて逃げていたら)一生悔やむことになる」と語っていたが、静岡に住み、国立大学に籍を置き、そして教育を職とするものとして、今防災教育に携わらなかったら、同じ思いをすることだろう。

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ナヴィゲーションとリスク

 朝霧での3日間の講習会が終わった。講師をしたのは最初の2日間だけだったが、日曜日も受講者として中村先生のリスクマネージメントのセッションに参加した。曖昧でどう推移するか分からない状況にどう対応するかをグループで考えるリスクマネージメントエクササイズは、改めて多様な視点の存在に気づかせてくれた。適切な視点を設定することで曖昧な状況を切り分けて、それによって適切な行動を選択することが、メタスキル(ソフトなスキルとハードなスキルをつなぐもの)を構成している。それは「生きる力」やOECDが言うキー・コンピテンシーとも共通性を持つ。野外での体験で危険を回避すること、回避させることは、現代に要求される資質を育てることでもある。
 自然の曖昧さの中でナヴィゲーションをするオリエンテーリングは、それをよりシンボリックな形でより安全に体験するという意味で、現代にマッチしたスポーツだということを改めて確認できた。シンボリックな部分をどうしたら、リアルな状況の象徴であると気づかせることができるか?そこに最後のハードルがある。ちなみにリスクはもともと危険を冒して岩礁の多い海路を使って荷物を運ぶというような意味を持つので、ナヴィゲーションとは縁の深い言葉なのだ。
 いい講師にいい受講生がいると、いかに講習が実りあるものになるかを実感できたのも収穫だった。こんな講習を、これからどれだけ設定していくことができるだろうか?

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2012/02/06

講習会第一弾

昨日は御殿場でUTMFの説明兼+トレランセミナー。

セミナーでは地元の方やトレラン初めてという方がけっこう多かったのにびっくり。

トークショーでは、鏑木、三好、村越とも話しがノッて、1時間では全然終わらず。

反省。

トークショーでみせた写真をお裾分け

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2012/02/01

講習4連発

有度山が終わって一段落。来週からは講習4連発

2/5:UTMFのPRイベントを御殿場で。トレランの簡単な講習。御殿場市が主催で、参加者もよく分からない。何を教えればいいか迷うところ

2/10-11:朝霧野外活動センターでの読図+リスクマネージメント講習

 これは絶対お勧め。10-12日の3日間の講習だが、前半2日は僕と松澤でのアウトドアナヴィゲーション講習。一般野外活動指導者にたっぷり2日かけての講習は、単なるスキル論に終わることなく、ナヴィゲーションの教育的意義にも踏み込む。最後の12日はリスクマネージメント分野の中村正雄さんが、ゲームを交えた講習。元気だったら、こちらが聞きたいくらい。

2/18:アラジントレラン部のランナーのための読図講習。こちらはカジュアルに実践的な知識を中心にしつつも、あなたを地形萌えの世界に誘う。

2/25-26:JOA震災復興支援で仙台でのオリエンテーリングインストラクター講習。なんと「特価」1000円。こちらもオリエンテーリングの魅力から指導スキルまで。大学生には就活にも役立つ自己分析スキルの勉強にもなる一石三鳥講習。

 わくわくする講習が続く。興奮して不眠にならないようしなくちゃ。

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