三陸海岸大津波
作家の吉村昭氏が30年以上も前に書いた「海の壁」という本が、2004年に文庫化されて、表題のタイトルの本となった。明治、昭和、チリ津波についての三陸の被害の状況やそれに対して人々がどう行動したかを書いたもので、当然のように、今年になって刷りを重ねている。
地震もないのに不意打ちにように襲われたチリ津波にしても、記録によれば、過去明らかに5例は南米の地震による津波に三陸は襲われている。そのうち一例は大正年間に入ってからのものである。
明治29年も、昭和8年の、高台への移転が見られたが、それも時間とともに海岸近くに人々が戻るという現象が見られた。
津波への対策の模範的な例として田老町が指摘されている。明治、昭和と最大の被害を受け、現在では避難訓練、10mの巨大堤防と被害予防に積極的な姿勢をとった田老でも、20名の死者。終章に「津波は、時世が変わってもなくならない、・・・しかし、今の人たちはいろいろな方法で十分警戒しているから、死ぬ人はめったにないと思う」という地元の人の言葉が引用されているのが切なく感じられる。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント