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2011/07/29

日本一方向感覚のよい男

昨日の爆笑問題のキャッチが、見出しの「日本一方向感覚のよい男」。そのこと自体は概ね間違いない(自覚はあるし、500人以上の登山者の山中での方向感覚をテストしてきた青山先生が、僕をテストした時『どうして個々の場所のローカルな特徴にこれほど影響を受けないのか不思議だ』というほどのデータを出したので、客観的にも1番に近いところにいることは間違いないだろう)。

 それって、僕のオリエンテーリングのパフォーマンスや地図読み能力につながっているのだろうか?僕の近くには方向感覚がかなりだめだが、日本チャンピオンに3回なった男がいる。自分自身方向感覚がいいことで、オリエンテーリング中の動きがなめらかになっていると感じることはあるが、それはナヴィゲーションスポーツのパフォーマンスとしてはごく限られた部分を説明しているにすぎないと思う。もちろん、彼も地図読みや体力の部分では優れた能力を持っているので、方向感覚の悪さを自覚的な、そしてやがては無自覚的名スキルで補っている可能性は高い。

 初心者指導をしていると、磁針に対してもっと感受性を持って、それに対して自分がどちらを向いているかを意識してほしいと言うし、もっとそのことに真剣になれば、地図読み(というより読み取った情報の活用)がより確実になるのにと思うことは多い。方向感覚のよい僕のようなタイプは磁針を参照しなくても内部の認知地図で、自分がどちらを向いているかを判断することができるし、上に紹介した彼のケースでは、徹底的に磁針を意識するスキルを高めることで、自分がどちらを向いているかを意識し、それによってナヴィゲーションを成功に導いているのではないかと思う。

 そうだ。マイクロレーサーの導入にも、このステップを徹底的に意識させることが大事だと昨日考えたばかりだった。

 

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2011/07/23

爆笑問題、放映は28日

最近TVは極力出ないようにしている。特に、僕に話がかかるテーマとして山岳遭難・リスクと、方向感覚がある。前者はもちろんできるだけ出るようにしているのだが、後者は情報バラエティー番組がほとんどで、消耗感だけがあって、生産的に感じられないのが大きな理由だ。
 その禁を久しぶりにやぶって、爆笑問題の日本人の教養に出た。70分の対談はぐったりだったが、「切れる」と評判の太田だけに、「その展開何?」と思うような話も、実は空間に対する認識の深い問題とつながっていたりして、対談に心地よい緊張を感じることができた。
 放映は28日22:55より。

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2011/07/19

北八ロゲイニング

北八ロゲイニング。ポイントの範囲も大味で、ロゲイニングと思うとやや物足りないが、高原を地図でルートを決めながらトレランしにきたと考えるとかなり楽しい。特に北八東側から外回りのルートは気持ちのよいトレイルが続いている。トレッカが多いのも肯ける。

 この日も混合で、田島りかと組んだ。普通なら彼女の写真は僕がいくらでも取れるのだが、今回は僕がまさかの大ブレーキ。2時間くらい走ったところで、心臓の機能がついていかず、低酸素状態でぼーとして走れなくなってしまったのだ。軽い胸の圧迫感があるが、まさか狭心症とも思えない。

そこでこんな写真もたくさん残ったという思わぬ副産物。後半は復活してなんとか首位を保った。今回は1283点。12830円の寄付。

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2011/07/14

山岳救助隊講習

今年はすでに静岡市内で6件の遭難事案があったという。まあ、南アルプスの大部分を含む静岡市だから、6件というのも決して多い数ではないのかもしれない。昨年からは、市の消防本部内に山岳救助隊が設置された。トレランで有名な望月将悟さんもその隊員の一人だ。

 今日は、その山岳救助隊の読図研修をした。初心者の多い普段の講習ではなかなかいけないようなところもコースに入れて楽しい研修ができた。

 「僕らも同じようなことは自分でやっていますけど、言葉がないので、後輩に教えるときに『しっかり読め』としか言えないんですよね」と、某隊員。エキスパートなら誰でもやっているようなナヴィゲーションスキルに形と体系を与えることにオリエンテーリング競技者や大学教員としての役割があるかもしれないな。

 爆笑問題の放映は7月28日に決まったようだ。

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2011/07/09

久しぶりにだらだらした休日を過ごそうと大学にいったら、ランドネから原稿の依頼が来ていた。締め切りが週明けだと!?相変わらずあの会社は、すごい仕事ぶりだな、うつになるぞ。

 とうとうランドネデビューだ。これを足がかりに、次はコラムでも書かせてもらおう。「ねえねえ、こないだのランドネの村越さんのコラムみた?」山ガールのランチ時の話題になる、なんていう妄想も膨らむ。

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儀式と宿題

全国山岳遭難対策協議会は、名前は対策協議だが、実際には儀式に近い。もちろん、これだけの役所がそろってやることである。儀式も重要だとは思う。最後に山岳遭難を減らすための提言が採択されたが、それをこれからどうやって具体的なものに落としていくかは、現場に問われることだろう(この提言については近日中に登山研修所のhpに掲載されるらしい)。
 大津市消防の現場からの報告と課題を受けて、日本山岳協会と登山研修所のしかるべき立場の人が、回答するというパネルディスカッションも、課題はたくさん残ったが、一歩前進ともいえるだろう。
 16:20まで協議会があったあとは、18時から、日本山岳協会主催のシンポジウムが行われた。ここでは僕もパネリストになって、まあ自由な立場での発言ができた。
 
 これからの遭難をどう防いでいくかというテーマでのディスカッションの最中思いついたこと。身近な遭難は現場や山岳団体に任せるとして、自分として何ができるかを考えた時、未来を見据えて教育の中にどういう形で再び野外活動(登山)を取り入れていくことができるかという視点だった。そりゃあ、これまでも遠足に登山、林間学校だとそこそこの高山に登るということも行われてきたが、訓練の域を出ていない。一方で学校教育の中では「生きる力」、もう少しまじめにいえば、児童・生徒が自ら課題を見つけ・解決する方法を学ぶことが奨励されている。ならば登山によってどんな力の育成が可能なのかを指導要領に対応した形で抽出するとともに、それに対応したプログラム(授業案・実践案)を提案していくことが必要だ。
 たとえば、学校登山で子どもが地図を見るだろうか?僕の経験では一度もそんな経験がない。でも地図を見せる。距離を測って自分たちがいったいどれくらい歩くかを計算する。地図から危険個所を想定する、ついでに距離から消費カロリーから消費水分を計算し、持ち物の参考にする。これこそ総合的学習!
 いやはや、またもや自分から宿題を増やしてしまった。

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2011/07/08

「岳」の世界

 全国遭難対策協議会に出席した。各県の遭難救助関係者や山岳関係者が集まるこの会では、危険をついて要救を助ける毎年救助隊の活躍が紹介されるが、今年は珍しく、遭難防止に地道に取り組む大津市消防本部の取り組みが紹介された。管内にある比良山系は、ロープウェーの廃業等もあり、近年道迷いが増えている。その中で、主要な登山道に約30分おきにピックアップポイントの看板をたて、何かあったら、そこまで搬送または移動してもらい、そこからヘリで救助するための仕組みである。今では携帯で救助のための連絡は簡単につくケースが多い。そしてGPSで位置も分かる。だがどこでもヘリでつり上げられる訳ではない。ピックアップポイントを作成することで、これまで最短の、通報から病院まで38分という移送が可能になったという。
 その一方で、昨年2件の事故があったように、ヘリでの救助は救助側にも危険がつきまとう。それに加えての、本来の業務ではないピックアップポイントの設定を含めた登山道の整備。中には、「ピックアップポイントがあるので安心です」といった、趣旨を誤解しているとしか思えない「迷言」をはく要救もいるという。それでも現場に出向く背後に、「助けを求める人がいる限り、出動する」という消防としての使命感が伺える。S県県警の救助隊副隊長は、(通常は隊員の安全確保のために行わない24時間態勢の救助も)「場所が特定でき、時間的に切迫しているならやる」と明言する。隊員に何かあった時のくびは覚悟の上だ。
 先の大津消防本部司令がプレゼンの中休みに指摘したように、映画「岳」にはあり得ないシーンが数多く出てくる(それを見つけるのも通としては楽しみの一つでもある)。しかし、一般の人から見たらありえないように思える救助隊の心性こそ、実はもっともリアルなものに思える。あの映画と漫画がぎりぎりのところでリアリティーを持っているのも、そう故なのだろう。

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2011/07/04

今シーズンのロゲイニング

一つ前にも書いたが、昨日は霧ヶ峰ロゲイニング。

 本年度は、この霧ヶ峰を緒戦として、昨年までのロゲイニングシリーズに変わって、ナヴィゲーションゲームズが始まる。2週間後の北八、そして9月の北海道、11月の朝霧、12月には四国初上陸、讃岐うどんの本場香川県での大会。最終戦は1月下旬の有度山など、魅力のレースが満載。

 情報については、

http://www.orienteering.com/index-j.htm

のイベントカレンダーより。なお2週間後の蓼科・北八ロゲイニング前日のナヴィゲーション講習会はまだまだ定員まで空きがあります。

詳しくは、

http://www.orienteering.com/tateshina/index.html

より。

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霧ヶ峰ロゲイニング

 今シーズンのロゲイニング緒戦となった霧ヶ峰ロゲイニング、体力のない人にも車山高原全体を楽しんでほしいという主催者の思いで、5時間の部が新設された。3時間でほぼその全域を走り回っている僕らにしてみれば、当然エリアが広がる。車山高原から白樺湖に降り、さらにその東側の八子が峰までがエリア。さすがに八子が峰まではいけないとしても、少なくとも白樺湖までは降りることになるだろう。白樺湖に一端降りてしまえば、車山の山頂まで標高差500mを登り返してこなければならない。ちょっとした戦略のミスが、大きな失点につながる。
 TEAM阿闍梨の前日のミーティングでは、基本的戦略は一致した。
*八子が峰はともかく、白樺湖まではいく。
*帰りはなるべく最短ルートを残した方がよいので、行きは、北辺を通る大回りで点数を稼ぐ。後半は時間に応じて臨機応変に展開する。僕は田島と混合なので、八子が峰は微妙なところ。白樺湖に降りたタイムでその後の展開を決めることにする。
 スタート後、北辺の大外回りをしている時、ライバルチームの渡辺・大沢のチーム遠足と一緒になった。お互いのペースはほぼ互角。ほぼ1時間の地点から白樺湖に降りるほぼ2時間15分の地点までは抜きつ抜かれつの展開。八子が峰はいけない距離ではない。スキー場の上部にある179点は魅力だ。その周辺にも60点代と30点代があり合計で270点を越える。彼らが上に八子が峰にいくなら、僕らも一蓮托生だ。だが、幸か不幸か、どちらかに決定しなければならないコントロールの前で離され、彼らが上を目指したのか、無難に水平方向に移動したのかがわからなかった。
 さらにこの時、田島もやや疲労気味。無理な展開になるよりも安全策をとって、八子が峰は捨てることにした。この時点では、走力的にやや負けている感じがあったから、彼らが行かなくても一か八かで目指すという選択肢もあった。もし負けたとしたら敗因となる意志決定だ。
 その後白樺湖南岸の別荘地を巡り、車山スキー場のリフトへ。だらだらした登りの林道も比較的スムースで、給水をし、リフトに乗って、山頂についたのが、残り1時間20分強。少し膨らませながら戻ることができるだろう。100をとって74にくだる。車山湿原から87をピストンして、ふたたび101の山頂に戻るプランだったが、田島が果ててきた。登り返したら、間に合わない可能性も出てくる。ならば、このままくだり、スタート付近に直行すれば75や36が取れる。何よりオーバータイムの不安が減る。しかも、この二つで111点だ。さっさと作戦変更し、下って、32をとり、登りの多くて時間のかかる60はパスしてロードをひたすら走り、35をとった。まだ25分近くある。75は間違いなくいけるので、36をピストンし、75を目指す。
 35への登りで気になっていたが、田島が明らかにへたってきた。僕の方は余裕。75を10分でクリアできるなら、さらに34も取れるかもしれない。彼女のザックを持つことにした。せいぜい1kgぐらいだろうが、これで明らかにスピードアップ。34も間違いなく取れる態勢になった。
 ゴールは制限時間の4分前。計算しながらゴール付近をピストンしながらのアプローチだったので、全く不安もなくフィニッシュ。85で分かれたチーム遠足は179は行かないもののその一段下の38、65をとって戻ってきた。その分車山後はあまり点をとれず、結果的に1点差の勝利。結局、最後までどん欲に回ったことが勝利につながった。荷物もってよかった!混合とは言え、あまりパートナーに荷物はもってもらいたくないものだが、その意地を断ち切った田島の殊勲でもある。
 得点1885点で、18850円の寄付ができた。

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▲帝王柳下はトレランの大内さんを連れての堂々の走り。スタートしてまだ70分くらいだが、後で確認してみるとすでに200点の差がついていた。

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▲1-2時間のあたりでは、「チーム遠足」(渡辺・大澤組)と抜き抜かれつ。左:田島、右:大澤。

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