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2011/03/31

日本への評価

この大震災後の被災地やその周囲の人たちの勇気や忍耐力、道徳心については諸外国から高い評価が与えられている。もっともそれは今に始まったことではないし、戦後あるいは阪神淡路大震災の復興といった過去の「実績」の上に成り立っているのだろう。

 その一方で、原発を中心とする危機管理やそのためのロジスティックスについては世界からも、「もうおまえには任せられん」に等しい評価が下されているように、ここ数日感じられる。これも伝統的には日本が弱い部分であったことは、太平洋戦争などでも指摘されている。

 過去の重荷に耐えることはできるが、将来の不確実さには限りなく非力である。後者への対応こそが、復興した日本社会に課せられた最大の課題であるように思う。

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2011/03/27

地震の復興と地図

 被災地に入ってボランティアをしている知人から電話があった。「今やっているようなやりかたじゃあ、らちがあかない。ちゃんと地形図を手に入れた方が効率がいいと思うが、どうやって手に入れたらいいか?」

 なるほど、ロジスティックを体系的にやるにはやっぱり地図だ。だが、確かに地元じゃ地図も手に入らないだろう。日本地図センターのネットショッピングなら、すぐに申し込みできる。その上、今なら画像をダウンロードできるからネット環境なら、即座に地図を手にすることができる(ちなみに紙版の女川、その他いくつかは品切れになっていた)。

参考までに知人に知らせた手順を載せておこう。なおこんな時のための?電子国土は、うまく東北日本が表示されない。なんたること・・・

①地図センターから画像を購入
センターのトップページの「地図データ」を選び、その中の地図データ、25000
段彩・陰影画像
と進んでください。
http://net.jmc.or.jp/digital_data_map_dansai.html(これで直接入れます)。
「商品購入の一覧表」を選んでください。

日本地図が区画に区切れれてでてきます。
1/20万で区画が示されます。南三陸町から石巻は「石巻」+その北側の「一関」
になります。それぞれの区画をクリックすると、だいたいの市町村境界等ととも
に1:25000の境界が示されるので、わかると思います。

ほしい区画をくりっくすると、カートにいれるかきいてきますので、いれてくだ
さい。提供種別は「ダウンロード」です。

めんどうですが、一々一覧画面に戻ってほしい地図をクリックして、カートにい
れてください。すべて修了したら、レジに進むです。

アカウントを聞いてきますが、はじめての場合は登録が必要です。簡単だと思い
ます。決済が終わると、そのまま「ダウンロード画面」へのリンクがでます。

ファイルサイズは11Mほどあるので、通信環境が悪いと大変だと思います。た
ぶんそれぞれの地図に対して3つのファイルが出てきますが、一番大きい.pngの
拡張子のものをダウンロードすればOKです。こちらのモバイル環境でも1枚3分くら
いでできました。
 なお、ダウンロードした画像はフォトビュアーで見ることができますので、そ
のままA4サイズ(本当はA3サイズのほうがよい)に印刷してしまえばいいと思
います。この場合、縮尺が適当になります。たぶんA4なら1:50000くらいになるはず
です(本来の1:25000は画像の範囲が概ねA2サイズなので)。

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原発報道と未熟なオリエンテーリング

 学生のランニングオブザベーション(走りながらのオリエンテーリングの様子の観察)をした。はっきりした特徴がある場所での走りは一月前と比べて格段に良くなった。元々不整地でのフィジカルは悪くないので、これが安定してできるようになれば、女子のトップレベルが狙える。 一方で、曖昧な場所にくると途端にスピードが落ち、立ち止まって地図を読む回数が増え、動きがおぼつかなくなる。想像はできたが、それを確認するために考えていることを「実況中継」しながら走ってみてもらうことにした。トレーニングの一環で行うことがある「スピーキングO」という手法だ。 彼女はルート上の特徴を地図から点状に読み取る。しかし、この先どうなるのか、周囲にどんな特徴的なものがあり、進路をそれるとどうなるかについて、ほとんど言葉にできない。未知の自然の中では進路が思い通りにならないことは常だから、その誤差を予想し、それに伴うリスクを想定するとともに、そのリスクをコントロールしなければ、自然の中のナヴィゲーションに成功はない。「今に対する断片的な実況中継」は、原発事故の報道(あるいはその元になっている東電の情報把握)みたいだ。 ラフとファインに対する考え方を持ち合わせていないことにも衝撃を受けた。ナヴィゲーションでは、上記の理由から、誤差によるロストのリスクを正確に見積もることと、それに応じてリスクを高いレベルで管理しなければならない区間をファイン、そうでない(リスクを管理しなくていいのではない。低いレベルでの管理で十分な)部分をラフと呼んでいる。より高いレベルで走る上での必須の考え方だ。彼女はファインはやっていというが、行動を観察し、やっていることを聞き出し見ると、単にラフを短い区間で繰り返しているだけなのだ。つまり、ちょっとだけ動き、立ち止まり周囲を見て、その特徴からいる場所を地図上で確認し、次の区間に移動する。細かいリロケートを断片的に繰り返している。確実な手段と精度の裏付けによって、確実にある場所に着くことを保証する本来のファインとは別ものである。これも原発の報道(対応?)みたいだ。 彼女と二人で彼女のオリエンテーリングを解きほぐすことで、僕は自分が当たり前のようにやり、そして時にはできていないことを明確に意識することができた。ラフとファインについても改めて考え直すことができた。それ以上に、ナヴィゲーションの発想が、未知を含む事象への対応を考える参考になることを、改めて意識できた。

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2011/03/22

富士宮の被災

 3/15日に富士山直下で大きな地震(地元は震度6強)が発生したが、東北や関東北部の状況とは比べるべくもなく、ニュースにもほとんどならない。実際清水にいた自分ですら、ニュースを聞いて、それほど大きくないけがが30人程度、という軽い気持ちでいた。
 山の状況を見るために週末にいってみると、確かに悲惨な光景はないものの、山中の林道は盛り土が滑って舗装路面がひび割れていたり、一部に落石も見られた。実際落石が台所に飛び込んできた家もあったそうだ。
 折しも彼岸。もっとも震源に近く、オリエンテーリング関係者であったら一度は訪れたことがある村山では墓石が相当数倒れ、また瓦屋根のざっと1/3くらいがなんらかの修理が必要な状況に見えた。卒業生の実家を訪れたら、鉄骨の庇が半壊し、危険な状態だったので取り壊して片づけの最中だった。その光景には心が痛んだ。富士宮くらいでも、報道と実際に見た時の心情にこんなギャップがあるのだから、東北関東北部の惨状は、想像を絶するだろうと思う。
 アウトドアが専門だから、彼らの暮らしを改善する可能性のある物資を大量に持っているが、それを活用できないもどかしさがある。いつか自分の持っているものを役立てる日が来るときのことを想定し、今は冷静に頭を働かせておこう。

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2011/03/15

エマージェンシーキット大人気

時々検索ワードのランキングを見ているが、ここ数日はエマージェンシーキットが大人気。

こんな時期だから関心も高まるのだろう。今はとにかくあるものを使うべき時だが、これを期に、山の発想で日常のエマージェンシーキットを考えてみるのは面白そうだ。来年の授業で取り入れてみよう。何よりもリスクをわかりやすい形で考えるトレーニングになる。

 今回、一部を初めて使うことになって、僕もあらためて中身を見直してみようと思った。暗くても、長い距離歩けること、歩くこと、ある程度の寒さに対応できること、あとは外傷系のけが(自分や周囲の人も含めて)に対応できることは、アウトドアでも日常でも大事なことだと痛感した。とりあえず。ラテックスの手袋は入れることにしよう。あとは、細引きと切る道具だな。水は重量があるので、重要だが、普段持ち歩くのは現実的じゃなさそう。そうなると浄化剤(?)をむしろ持つべきなんだろうか?ここら辺は研究の余地ありそう。

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確定申告

地震でばたばたしているうちに確定申告の最終日になってしまった。しゃあない。いってくるか。必要経費の領収書をたくさん控えたおかげで、なんと*万円(内緒)も還付になった。

 これは天の声だろう。どーんと全額震災義捐金に寄付しちゃおう。

 

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2011/03/12

リスクマネージメント

やまけいの取材を終えて奥武蔵の山を高麗まで下りてきた時に、地震があった。ちょうど東京の本社と電話していた人が、すごいらしいぞ、もうすぐこっちにも来る、と叫んでいる。長い初期微動と大きな揺れにただならぬ地震であることが分かった。
 すぐに西武線は停電で止まった。とりあえず飯能までバスでいく。とにかく都心を目指そうということで、ヤマケイの人と4人で都心方向に向かった。居眠りしていて分からなかったが、相当な混雑のようで、一時所沢に降りた。
 この時点では、まだ地震の状況がよく飲み込めず、交通機関も2,3時間もすれば回復すると考えていたが甘かった。サイゼリアで食事をしている時に、JRもどうやら今日中には動かないだろうことが分かった。
 それでも「都心に行きたい」というヤマケイの人とカメラマンと3人でタクシーに乗った。混んではいたし、運ちゃんも八王子の人で、全く道は分からないというのを、「僕たち地図読みのプロですから」と説き伏せ、カシミールの地図、ipod、紙地図を駆使して、都心に向かった。新宿まで3時間だった。
 新宿は、金曜日の夜としてはこの程度だろうと思う人混みだったが、駅の随所に人が座り込んでいた。ホテルも当然のように満室ばかり。ただ、ラジオで「新宿高校が帰宅難民のために開放されている」と聞いていたので、最終手段はそこを使おうと思っていた。仕事柄、後学のため。
 時期的に幸運だったと思うが、おそらくマニュアルにある体育館と大きな視聴覚ホールの他に、卒業してからっぽになっていた3年生の教室も開放されていた。とにかく暖かい場所で横になれることに感謝した。行政の仕事は、マスコミによくたたかれるが、整然と帰宅者支援施設が運営されていることは、行政のリスクマネージメントの成果だと思う。担当の人たちの落ち着いた暖かい言葉かけにほっとした。新宿高校は立地と施設の充実度があるのだろうか、真っ先に開放されたが、その他の都立高校も全て開放されたとニュースがあった。
 3年生と言えば、今日は国立大学後期入試。同時におこなわれているインカレも心配だが、入試に深く携わったものとしては、遠隔地の受験生が前日ほとんど移動できなかったこと、その中で入試がどう行われるかも気がかりだ。

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2011/03/07

石垣ロゲイニング

3/5に開かれた石垣島ロゲイニングにいってきた。首里、名護と続く3連戦のフィナーレだ。那覇からさらに飛行機で1時間のこの地で、100名ほどの参加者があったことがすごい。その8割が島民だが、家族からエコツアーガイドの方のチームなど、出場チームは多彩だった。本土からも僕と田島のペアの他に帝王こと柳下とそのチームメイト松永さんが招待されていた。

 「南の島でバカンス♪」を夢見ていたが、結局6時間はしりまくって45km以上。暖かさに順応できずに、くたくただったが、石垣島の情緒を満喫できた。

 運営のホールアース沖縄校の皆さん、地元青年会の皆さん(伝統音楽等で盛り上げてくれた)、ありがとう!

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▲パートナー田島と石垣の自然の中を走る。

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途中の名蔵の小学校の校訓がすごい。自主・創造・協力は今風だが、「根性」!?

なんだか、新鮮だったが、ある意味一番必要なものかも。

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2011/03/04

ライフワーク

何人かの方から、励まし、気遣いのメール・コメントいただきました。ありがとうございます。

地道に賛同者を増やしていこうと思います。来年、「静岡市主催」!くらいのインパクトで実施できたらなあ・・・と思います。それと同時に、個人が自己責任を負うことで、もっと活き活きした暮らしができる国づくり、がライフワーク・・・、かな?

 再度、この素晴らしいトレイルの一端を紹介します。

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2011/03/03

トランス静岡中止

昨日は仕事した!県庁と国有林を管理する静岡森林管理署へ。富嶽周回の方は、UTMFの影響もあって、かなりハードルが高そうだったが、トランスの方は希少動植物などハードルをいくつか提示されたが、いずれも越えられそうなものだった。

 その足で、再び県庁を訪れ、希少動植物の問題はないことを確認。また県立公園の特別地域の通過についてのいくつかの条件を確認した上で、まあハードルは越えたかなと思ったところが、今日、森林管理署から電話があって、結果はNo。

短い期間であり、こちらとしても責任が持てないという理由で、「イベント開催」を了解することはできないという解答だった。

所有者がダメといえばダメなのだ(そこを登山者が通るのはいいというのが納得いかんが・・・)。僕らがいくら自己責任といっても、国民の中に一人でも管理者責任を問う人間がいれば(実際過去に落石で管理者の自治体?が訴えられたケースはある)、官庁の対応が上記のようになることはやむを得ない。

「僕ら」が変わるのに後何年かかるだろう?トレラン(他のアウトドアスポーツもそうか)を本当に愛好する、というのはそういう文化への挑戦でもある。

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2011/03/01

何を教えればいいのやら・・・

東京が再び寒気に見舞われ、雪もちらついた中、ディバスのポーリンたちと読図講習をおこなった。講習とは言え、彼らもアウトドア講習をおこなう立場なので、むしろ僕の指導法の評価をしてもらうくらいのつもりでやった。当然のことながら、基礎的な読図はできている。しかし、それをうまくナヴィゲーションに利用できるかどうかにはやはり個人差がある。言葉で指摘すれば意識してすぐにできることもあれば、そうでない場合もある。初級に教えるべきことはある程度確立しているので、次のステップは、こういうレベル(あるいはそのちょっと下くらい)の人たちに何をどう教えるかだ。ナヴィゲーションの理論的な把握からは、何が足りないかは分かる。問題はそれを学習者が身につけるプロセスとそれを支援するための仕組みづくりである。

 彼らとの講習と対話は改めてそのことに気づかせてくれた。みぞれの中の読図講習も、意外と楽しい。

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白く写っているのは雪。気分は悲惨だったが、講習は楽しかった。

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