遭難座談会、もういっちょ
遭難座談会の話題で面白かったのは、「実は歩行技術って大切なんじゃない」ということだった。歩くことなんて当たり前。誰もがしている。でも山でちゃんと歩けている人は少ないというのがお二人の分析だった。
まずペースが速すぎる。一定の心拍に押さえようというのはトレーニングを積んだ僕らだとあるが、一般人にはあまりない発想なのかも。運動生理学を見れば、この程度の心拍なら運動を継続できるといった目安がある。ペースが速すぎるので、どうしても疲れがちになる。なると足下ばかりを見ることになる。これは周囲の危険認知やナヴィゲーション上の情報取得を阻害するというわけだ。
岩石地などだと足下が気になることも遠くが見れなくなる要因の一つだと思われる。加藤さんがいっていた、「みんな個々の活動を別のものとして捉えているけど、本当は連続したものなんです」、というのも我が意を得たり。「アイゼンワークと普段の足運びは連続しているんです」ってことだ。普段から次の一歩に乗り込むとき、ずりっと足裏をずらせちゃう人はアイゼンをはいていても雪面で足をずらし、それが滑落のリスクを高める。そういえば、登山研専門職と立山の屈強ガイドと雪山に登った時、注意している僕でも、時々次の一歩に踏み込む時にずりっとやってしまったが、彼らは見ている限り、一度もずりっとしなかった。
高度なスキルの確固たるベースに基礎技術がある。そんなことを頭ごなしでなく、理屈を簡潔に説明しつつ伝えることが重要なんだろうな。
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