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2010/10/09

ジオサイト・オリエンテーリング

 火山を専門にしている同僚の手伝いで、ジオパーク認定に向けて動き出した伊豆での活動の効果検証に取り組んでいる。ジオパークとは世界遺産と同様、ユネスコが認定しているが、その名のとおり、地質学的に(ジオ)珍しい景観等を保全すると同時に、ジオツアーなど教育的な活動を通して、持続的に地域の発展にも貢献しようという仕組みである。日本ではすでに4つのエリアが世界ジオパークに、14エリアが日本ジオパークに登録されている。パークの中でも地質的な特徴が現れている場所がジオサイトである。 同僚が引率する(模擬)ジオツアーは、何のことはない。「地形萌えツアー」だ(詳しくは6月のブログ参照)。もちろん彼らは萌えるだけでなく、どうしてそこがそんな地形になったのかを、100万年の歳月の流れをまるでその脇で見ていたかのように説明してくれる。そこで閃いたのが、ジオサイト・オリエンテーリング。まあロゲイニングだ。ジオツアーにかかわっている人の中には、日本の観光形態は、人に引率されて、バスかなんかであちこち回るものが多いので、ジオツアーにそぐわないという考えを持っている人もいる。自然の中に点在する場所を自力で移動する手法としてオリエンテーリングは最適だ。おまけに、それをもとに名所を見て・走って回るという形態もロゲイニングを通して定着しつつあるし、世間の注目も集めつつある。 今、高校地学は壊滅的な状況であるという。高校理科のうち、物理・生物・化学は主要教科とされているのに、地学教員はいない高校も少なくない。そんな危機意識もあるのか、火山学者の中には、一般の人向けに学術的知識を提供する「アウトリーチ」に精を出す人がいる。古い理学部あたりにいると、そういう人は英語で論文を生産することが難しくなるので、「おまえ何やっているの?」ということになるらしい。だが、アウトリーチ派から見たら、このままでは地学はじり貧だという思いがある。なんだか、現在のオリエンテーリング界の状況を見ているようだ。 ま、それはともかくジオサイト・オリエンテーリングは、ジオパークにとっても、オリエンテーリング界にとっても重要なアウトリーチ活動になるのではないだろうか?近いうちに伊豆東部火山群でやってみようかな、なんて思っている。

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