3000m走
ヨーロッパでは人気の陸上中距離種目だが、日本ではあまり人気がない。短距離にも長距離にも向かなかった選手が高山植物のごとくほそぼそとやっている印象がある(関係者のみなさん、ごめんなさい)。
それにしたって、ヨーロッパやアメリカだって、マラソンブーム、ジョギングブームというのがあっても3000m走ブームっていうのはありえないだろう。アスリートならともかく、一般の人がやるには辛すぎる。練習しなくても走れてしまうが、疾走感とか、その中で最後にギアを入れ替えてスパートして、勝負を賭けるといった面白さは練習しなければ味わえない。ブームになるにはストイックすぎる競技なのだ。
考えてみると、これってロゲイニングとオリエンテーリングの関係に似ている。オリエンテーリングってとってもストイックな競技。トレーニングをしている(週2日くらいですが)僕ですら、楽しいと思えるのは本当にコミットしたレースだけだ(でもクラブカップリレーは本当に面白かった)、中堅社会人としては、それだけのコミットをするのはせいぜい年に1回くらい。その代わり、そこには至高を求めるストイックな楽しみもある。一方ロゲイニングなら、6時間なり12時間走りきれるだけでも達成感があるし、成績はとにかくビールも食事もおいしい。
3000m走とマラソンやジョギングは確かにランニングとしてだいぶ性質が違うが、3000mがもし仮に単体であったらとても生き残れないし、発展もないだろう。一般の人が「とりあえずおためし」する入り口がないからだ。周辺的なジョギングやマラソン(あるいは逆にどこの学校でもやる徒競走かもしれない)があるからこそ、その上に発展もある。
そういうアナロジーで考えると、長年自分でやって、愛好してきた実感からしても、オリエンテーリング単体で大きな発展普及を考えるのには限界がある。ロゲイニングやクイックO、スプリント、正統なオリエンティアから見たら異端に思えるような広がりも、大きな心を持って「ナヴィゲーション・スポーツ」としてともに発展しあっていくことが自分のためにも、アウトドアスポーツ界のためにもなる。
アウトドアに不可欠な「ナヴィゲーション」という要素さえあれば、周囲に飲み込まれてしまうことも、アイデンティティーを失うこともない、と思うのだが。
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