退く勇気
さあ、これからもう少し傾斜のきつくなるところで、上位選手のランニングショットを撮ろうかなと思って移動を開始した矢先、前方から来た3人組に止められた。「エンド」。は?中止ってこと。どうも悪天候でUTMBのレースが、約20km地点のコンタミーヌで中止になったらしい。
2時間ほど前、盛り上がりに盛り上がったスタートを見たばかりだけに、実感が伴わないと同時に、その決断の潔さに感動した。世界各国からランナーが来ているこの大会、かなりの悪天候が予想されるとは言え、よく短時間に決定したものだ。
もっともコンタミーヌから先は標高2400mの峠もあり、霧が出て、ひょうがふっているといううわさもあった。決まってみれば当然の決断に思えるが、意思決定の途中にどんな葛藤があったかは興味あるところだ。リスクのある自然への挑戦では「退く勇気」とはまさにこのような決断を言うのだろう。
エイドでその事実をしった日本人上位の鏑木さん、横山さんは号泣。隣で淡々とインタビューに答えているセバスチャンの姿が対照的だった。
取材陣も不完全燃焼。その後の受け止め方や各自のフラストレーションの処理の仕方も勉強になった。
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コメント
twitterのリンクから、村越さんのこの記事に飛んできました。
現地のリアルな情報をありがとうございます。
トップ選手の反応は、本当に対照的ですね。
「退く勇気」
これは、普段の山行でも感じます。
レースであれ、ファンランであれ、自然相手のスポーツには、常にこの勇気が求められるのだと再認識しました。
投稿: 沢野有希 | 2010/08/28 13:07