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2010/08/29

疑似UTMB

 UTMB二日目だったはずの28日、シャモニーの裏側にあるクールマイヨールから後半98kmを使ったレースが行われていた。暇になってしまった取材クルーは、選手の応援に出かけた。
 モンブランを目指してきた人にとっては代わるべくもないレースだったが、それでも峠やエイドには多くの人が繰り出し応援していた。トレイルに入って写真を撮っていると、こちらも不完全燃焼なので、うずうずしてくる。一緒に取材に来ていた三好礼子さんと、たった4kmだったが、一部を走った。公式のレースではないので、ナンバービブを着けていない選手も多い。だから、観客やコースの周囲に住む人々、ハイキングをしている人、みんなが間違えて「アレ・アレ」といって熱心に僕らを応援してくれた。疑似UTMB気分を味わう。もっとも、このレースに参加した多くの人にとっても、これは疑似UTMBであったのだが。
 景色は最高、イベントとはもともと関係ない地元の人の応援。疑似とは行っても、このレースの魅力の中核は十分に味わえたはずだ。むしろ、UTMBのコアにあるものを純粋に味わうことができたと考えることもできる。今回のレース中止は、NHKのワンダーワンダーや鏑木・横山の挑戦のニュースによって作り上げられたこのイベントのイメージから多くの人を解き放つきっかけになるかもしれない。

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▲上は再レースで10位前後を走っている山本健一。観客のハイタッチにいちいち答えている姿が印象的。

下は、選手と一緒にトレイルを走る。コース脇の住民が拍手で応援してくれる。

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2010/08/28

フランス人と日本人

取材班は、不完全燃焼のまま宿舎に戻って、深夜12時からビデオ鑑賞会。スタート直後を追っていた、佐藤、村越の映像は迫力があるし、中止直後にコンタミーヌのエイドで、わけもわからないまま、とにかく号泣しているトップ選手をとりづけた福田六花さんの映像も印象的だった。

 よく朝ゆっくり起きて、じゃあ暇だからカフェへと思って歩いていると、ノースフェイスの三浦さんが通りかかる。クールマイヨールから後半だけの98kmのレースが朝10時にスタートしたという。この選択肢はありかなと思っていたが、たった半日でロジスティックの問題を解決するところも、その切り替えの速さもフランス人らしい臨機応変さの表れかもしれない。たしか、パリダカとかアドベンチャーレースでも、天候によってその区間が中止になったりコンボイになることがしばしばあり、それに対して柔軟に対応できることも選手に要求される。そんな文化的伝統があればこそ、決断もまた素早いのだろう。

 ゴール付近にいくと、UTMB以外の3つの種目の表彰式やら、ゴールしてくる選手の紹介をしていた。そのにぎやかさは、「UTMBの中止は残念だけど、それはそれ」という主催者の意思が伝わってくるようだった。

 

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退く勇気

さあ、これからもう少し傾斜のきつくなるところで、上位選手のランニングショットを撮ろうかなと思って移動を開始した矢先、前方から来た3人組に止められた。「エンド」。は?中止ってこと。どうも悪天候でUTMBのレースが、約20km地点のコンタミーヌで中止になったらしい。

 2時間ほど前、盛り上がりに盛り上がったスタートを見たばかりだけに、実感が伴わないと同時に、その決断の潔さに感動した。世界各国からランナーが来ているこの大会、かなりの悪天候が予想されるとは言え、よく短時間に決定したものだ。

 もっともコンタミーヌから先は標高2400mの峠もあり、霧が出て、ひょうがふっているといううわさもあった。決まってみれば当然の決断に思えるが、意思決定の途中にどんな葛藤があったかは興味あるところだ。リスクのある自然への挑戦では「退く勇気」とはまさにこのような決断を言うのだろう。

 エイドでその事実をしった日本人上位の鏑木さん、横山さんは号泣。隣で淡々とインタビューに答えているセバスチャンの姿が対照的だった。

 取材陣も不完全燃焼。その後の受け止め方や各自のフラストレーションの処理の仕方も勉強になった。

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2010/08/27

UTMB開幕

現地時間16時。あと2時間半でUTBMがスタートする。ここ二日間、TV撮影のため下見でコースを散々歩いたり走ったので、スタート前にすでにおなかいっぱい気分だが、レースとなるとまた違う気分で走れるかも。

 総勢20名を超えるNHKとその支援スタッフも緊張、興奮気味。自分自身走る経験があるだけに、それを別の視点から眺める立場にいると、いつもとは違う緊張感に包まれる。自分のレースなら、やれることをやるだけだ。だが、TVの撮影となると、慣れない器具の操作から、状況の変化に応じて臨機応変に対応できるかどうかへの懸念など、不安と緊張のたねはつきない。

 午前中から降っていた雨も昼過ぎにはあがった。若干暑いかもしれないが、トップ選手にとっては、それはそれで立ち向かわなければいけない試練だし、完走を目指す多くの一般選手にとっては恵みの天候になるだろう。

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▲最初の難関、ボンノム峠にて。これが本場ものランドネーゼ。登山地図にも、「カルト・ド・ランドネ」と書いてあった。ロケハンのときに撮影

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UTMB

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2010/08/26

モンブラン

 ノルウェーから帰国5日、時差も解消しないうちに、浮世の義理でモンブランに来ることになった。あまりにトレラン関係者が騒ぐので、「ケッ」と思わないでもなかったが、ロケハンしてみてコースの良さには印象づけられた。100マイルはいつでもできることではないが、半分を回るCCCなら出てみてもいいかなと思った。
 レースが始まったら、また別の感想が生まれるかもしれない。プログラムを見たり、コースを走りながら、来年の「冨嶽周回」をどうアレンジしようかな、なんて考えていた。

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2010/08/22

やばい

レーザースキャニングのデータと赤色立体図を持って、ロブや羽鳥、中村と全日本に向けての最初の地図調査を行った。等高線の精度が高く、オリエンティアの目に近いことは、勢子辻との比較で分かっていたが、実際にそれを持って地図調査をすると、その精密さと表現力には驚かされる。特に空の開放度を指標にして色を変える赤色立体図は2mの等高線には現れない地形も余すことなく表現されている。

 等高線など、ほとんどいじる必要がなく、現地で、「これがあれね♪」と確認して線をひけばいいのだ。これはやばい。「やばい」ってのはすごくいい意味でも使うんだよ、とロブに説明したら、英語でもrealy realy badはすごくいい意味(たぶん若者言葉)にも使うんだそうだ。

 でも、他の原図で山に入る気が失せてしまうかも。こちらは原義的にやばい。

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2010/08/18

やっぱりノルウェー

2006年以来4年ぶりにノルウェーで過ごし、2004年以来6年ぶりで本格的な山に登った。この間、日本ではずいぶん山に登ったが、ノルウェーの山は日本とは違う魅力がある。800mで超える森林限界、日本なら限られた場所にしかない高層湿原が至るところにあり、見渡す限りに広がる自然。

 改めてホームページのノルウェーの山のページを充実させようと思った。

 これまでの記録は以下のページに。

http://homepage2.nifty.com/navi-and-map/mountain.htm

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ドブレフェレのスネーヘッタのふもとにて。こんな大自然が鉄道からそう遠くないところに広がっているアクセスのよさがノルウェーの山の魅力の一つ。

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2010/08/16

サービス過剰社会

 2005年に世界選手権を運営して依頼、スポーツイベントを見る目が完全に運営者モードになってしまった。トロンハイム工科大学の学生が働いているのを見ると、次の世界選手権の時、どうしたら彼らにように日本の学生が働ける環境を作れるかと考え、観客の輸送を公共交通に頼っているのをみると、輸送にコストと労力が全く掛からないいいアイデアだからぜひ、次回は取り入れようと思う。そうそう、今回の世界選手権を見て、15年後くらいに、リベンジとしての世界選手権をもう一度開催したい。その思いも強まった。
 今回の世界選手権では、予選も含めて6レースの半分は、トロンハイムの市バスを使って会場に行った。街のバス停にいくと観客であるオリエンティアがどっさり集まっている。朝は乗るバスが分かれるのでいいが、帰りは観客がいっせいに帰り始め、30分に1本か1時間に一本(日曜日)のバスを待つ。バス停には整理係もいなければ、定期バスに乗りきれないほどの観客がいるのに臨時バスが出るでもない。乗り損ねた観客は自分で2kmほど歩いて別の路線のバス停に向かう。日本だったらぜったいキレる乗客がいて、ホームページが炎上しそうな対応だが、観客は淡々とそれを受け入れている。そういえば、数少ないコンビニを除けば日曜日はほとんどの店が閉まっている。土曜日も午後15時には閉まる店が多い。
 最近、自分がかかわっているイベントがだんだん日本化し、「サービス過剰状態」に向かっていることが気になっていた。手を抜けばもっと数多いイベントを気軽に提供できる。それによって参加者が自分たちの行動を自律的なものにすることも可能になる。そして、運営者と参加者がイベントの協働製作者になれる。サービス過剰状態になることで、そのいずれもが失われつつあるように思えていたが、ノルウェーの世界選手権の「手抜き」運営を見て、その思いは強くなった。
 日本の社会にあって、それはスポーツイベントだけのことではなく、社会全体の課題なのかもしれない。サービスを減らすことの価値を見直してみたい。

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2010/08/15

特別な日

昨日は世界選手権ミドルの決勝。残念ながら日本チームの決勝進出者はいなかったが、男子はロングに続いてノルウェー勢が会場を沸かせてくれた。日本にもやってきたキャリア十分のノルベリが今一歩だったが、若いコースが快走し、ノルウェーに今大会2つ目の金メダルをもたらした。昨日のオラフといい、ノルウェー男子の久々の復活を予感させる結果だった。

 女子はロング決勝表彰式では不本意そうにしていたミンナ(フィンランド)が後半ループでのシモーネのミスをとらえて逆転優勝。ノっているときのミンナはしびれるほど強い。

 表彰式は、毎回IOFの理事が交代でプレゼンテータを務めることになっている。男子の表彰式のプレゼンテーターを務めたのが、ノルウェーから選出されているアストリッド・ウォーラ・コース。なんと、優勝者の実母なのだ。コース家にとって、特別な記憶に残る日となったに違いない。

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上:勝つのは簡単じゃないってことがわかってもらえると思う、と絶妙のコメントを残したシモーネ。下:優勝のミンナ・カウピ

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表彰式で抱擁するアストリッド(母)とコース(息子)

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今日は世界選手権ミドルレース。会場は97年のノルディックの世界選手権の会場であるグラノーセンスキースタジアム。ジャンプ台とクロカンのコースが整備されていて、そのクロカンの施設がアリーナとなっている。

 女子は、世界選手権17回優勝のシモーネ(スイス)が18回に優勝回数を伸ばすのか、それとも地元のマリアンヌが一矢報いるのか。ミンア・カウピファンとしては、彼女に一票投じたい気はするが、今回の世界選手権に入ってからは今一つ体調がよくないとか。

 中間で一回アリーナに戻ってきたときにはシモーネがトップだったが、後半10分のループでミスをしたらしい。ミンナ・カウピが逆転した。3位がマリアンヌ。

 自分でも集中力が課題というカウピは、ノッているときは抜群の力を発揮する。2005年の北欧選手権でもそうだった。

<ブログ不調につき、写真はのちほど掲載>

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2010/08/12

ICOM2010

ICOMはオリエンテーリング地図に関する国際会議の略で世界選手権に合わせて開催される。今回のテーマはレーザースキャニングデータを活用したオリエンテーリング地図の作成の話題が大部分を占めていた。

 今回の世界選手権もすべてのベースマップはレーザースキャニングデータを利用し、ラトビアでは2007年以来100枚以上がレーザースキャニングのベースマップで作成されている。またスウェーデンでは、全土がカバーされるのは3年後だそうだが、オリエンテーリングマップへの応用に関する各種の調査研究が進んでいる。O-cadの新しいバージョンでも、レーザーデータの取り扱いができるらしい。

 誰と話していてもまず聞かれるのは「日本では使っていないのか?」9月のロゲイニング、そして来年の全日本に向けてデータを用意していなければ、ちょっと肩身が狭く感じられるほどの流行りっぷりだった。

 会場では、80年代に競い合ったアメリカのエリック・ウェイマンに会えた。真っ先に言われたのが、「世界選手権の成功おめでとう」日頃の音信はなくても、遠く離れた場所で見てくれている誰かがいるのだ。

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世界中の「地図オタク」たちが集まるICOM。流行りのテーマはレーザースキャニング

 

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2010/08/10

富士山麓ロゲイニング

9月12日の富士山麓ロゲイニングの申し込みが現在約60組。昨今のロゲイニング人気や有度山ロゲイニングへの参加数を考えると、やや物足りない。人気が出つつあるとは言え、「本格的なナヴィゲーション」という部分がやや敬遠されたか?

 締め切りまであと20日。オリエンテーリング大会のように直前に殺到ということなのだろうか?

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ミドル予選

 7年ぶりのノルウェーでのオリエンテーリング。真面目にレースを走るのも、半年ぶり。おまけにデフケースを出してみたら、4年前のデンマークの世界選手権の時のミドル予選のデフがはさんであった。トップと8分差くらいで卒なく終了したが、もう少しスピードを上げないと、本当の面白さは味わえない。併設ミドルでは、もう少しスピードをあげてみたい。
 この日のWOCミドルの予選も、残念ながら日本チームの通過はなし。番場が一時可能性の高い場所にいたが、結局ボーダーから約1分半の17位に終わった。男子でもっとも成績のよかった松沢がボーダーから約4分。ノルウェーの森は早く走ろうとすると手ごわい。
 明日は僕らがこのテレインかと思うと、ちょっと楽しみ。

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予選通過まであと一歩だった番場選手(上)と、男子最高位の松沢選手の力走

(WOCミドル予選にて)

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2010/08/09

世界選手権開幕

 オリエンテーリングの祖国ノルウェーでの第三回目の世界選手権が8月8日に開幕した。フットは42カ国から300人以上の選手が集まり、森の王者を決める4つのレースが行われる。今日は、スプリントの予選・決勝。午前中の予選は民家園のような場所で行われ、スタート直後のトリッキーな分岐(実際には十字路だが、観客が1方をふさいでいるため、十字路に見えない)でまどわされた選手も多かった。午後の決勝はトロンハイムの市街地の一部を車進入禁止にして行われた本格的スプリント。男女ともスイスが優勝した。

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▲日本チームが12日にテストレースをするビマルカからトロンハイム市街を望む。ノルウェーライクなご機嫌なテレイン(だが、やや山がち)。

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▲開会式を終えたトレイルOとフットOの選手たち。残念ながらスプリントは予選通過者はゼロだったが、あすのミドルやその後のロングに期待する。

 トレイルは君が代を聞かせてほしい!

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2010/08/04

帰ってきた村山口

2月にリニューアルされた村山口に、今年のサマーチャレンジ(オリエンテーリング練習用の半常設コース)を設置しました。練習したいが、コントロール設置が大変。一人でぶらっと練習したいなどのニーズに応えて2001年以来好評を得てきました。

 3km程度のミドルコースや技術練習用コントロールピッキングも用意しました。

詳しくは、以下のサイトに掲載します。全コントロール図やコース図も掲載します。来年3月末まで設置しますので、全日本の練習等にも活用できます!

詳細は以下に掲載(数日お待ちください)

http://www.orienteering.com/~shizuoka/Welcome.html

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おなじみ牛乳パックフラッグと園芸ポールによる半常設。モデルは今回の設置を手伝ってくれた静大のエース、走れるコアラこと若山あみり。

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ハセツネなみ

今年の朝霧トレランでは、「半年も前にエントリーが締め切られ、10000円以上もする参加費にキャンセルも不可能」という、サービス業界ではありえない状況に一石を投じるべく(とは言え、キャンセル可能が常識になったら、運営側は大変だという葛藤もある)、キャンセル制度を設けた。

 でないことは十分に早い内(人数に対応をした準備を始める2ヶ月前とか)に分かれば一定額を返金する、主催者としても当日欠席が分かって寂しい思いをしなくていいなど、両方にとってメリットがあるはず。

その分、キャンセル締め切り後に追加募集をする。キャンセルを7月末に締め切り8月1日に追加募集をメールとファックスのみで行ったところ、なんと0時0分付けのメールだけで予定していた追加募集の人数に達してしまった。ちょっとハセツネみたい。でも、せっかくの追加募集を期待していながら、ほんの少しだけ遅れて募集に漏れてしまった人には申し訳ない。

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