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2010/06/17

アジア選手権の舞台裏(5)最終回

 はじめてWCを成功させた時に気分を聞かれて、「戦には圧勝したが、兵をたくさん失った将軍の気分だ」と答えて以来、大会後の気分を戦の指導者にたとえる習慣がついてしまった。大会前の4月中旬、気分はほとんど「ベトナム戦争末期のアメリカ軍司令官」の気分だった。泥沼のような戦況で、「兵と国力を無駄に失っている」のではないかという気分に苛まれたものだ。
 大会が終わった時、せめて「北ベトナムの司令官」くらいにはなれたかなと思った。戦いに勝ったとは言い難かったし、国土は荒廃したかもしれない。しかし、国のプライドを示し、それを周囲に認めてもらうことはできた。

 大会が終わると、国土復興(会計整理)が待っていた。こずかい帳も家計簿も満足につけられなかった僕に、この仕事が向いているはずがない。スポーツ振興基金の助成ももらってしまった以上、会計的にはなんとかなる状態になったが、きっちりした決算書を出す必要があった。いつもながら船橋さんを巻き込み、伊藤なおさんには事務を全面的に依頼し、なんとか、30日以内の決算にこぎ着けた。3人でJOAに集まり、3時間数字と格闘しながら、軽い頭痛を覚える。つくづくこの仕事は適していないと思う。
 幸いなことに参加者も当初の予想を上回り、その分出費も増えたが、主管者への追加配分も多少なりともできる見込みがでた。財務のことでは気の合わないことの多い船橋さんだが、決算額を確定し、追加配分も含めて最終的な調製の提案を一発で飲んでくれたのは感動の一瞬だった。
 報告書の協賛・後援への配布やIOF提出用の英訳も済んでいないが、残務整理のほとんどは終了した。アウェーでの戦いも最初差のリードのまま、3分の延長戦を残すのみとなった(ドーハの例もあるから、気は許せないのだが。余談だが、あれを悲劇と呼んでいるうちは日本は一流のスポーツ国にはなれないと思う)。

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