ロゲのレースをしていると気になるのは、登りがどの程度タイムに影響するかだ。平坦な場所ならだいたいkmあたり5分とか6分とかいう数字の検討がつく。そして、登りになれば遅くなることも分かる。戦略上重要なのは、ではどのくらい遅くなるかだ。それによってある登りのcpを取るべきかどうか、回れるかどうかが決まる。経験則として距離の10倍というのがあるが、本当だろうか(その根拠として重力加速度の定数が9.8というのがあるが、横方向の動きに摩擦がゼロということはないから怪しい)。
そこでたっぷり走った松代ロゲのデータを分析してみることにした。デジカメで時刻は分かるので、レッグタイムも分単位で分かる。さらに、10時間ロゲだと、後半は疲れでペースダウンするだろうから、経過時間(分)も組み込んで、エクセルで分析すると、距離(km)に登り(m単位)を90で割ると比較的よい近似が得られた。相関係数が0.92だから、分散の約80%以上がこの二つの変数によって説明されていることになる。心理屋から見ると相当いい相関だ。 ついでなら、重回帰分析もしてみることにした。偏回帰係数は距離に対して6.06、登りに対して0.069という結果になった。驚いたことに経過時間は影響力がなかった。主観的には後半になるほどペースダウンしているように思うのだが、有意なものではなかったということだ。ペース配分がよかったということなのかもしれない。
偏回帰係数の意味はこういうことだ。タイムは距離(km)の6.06倍。これは分かりやすいだろう。1kmあたり6分3秒ほどかかっているということだ。それに対して登りの0.069は100倍してやると6.9分。つまり約100mに対して6.9分かかるということだ。これは登りが平地の約11.3倍かかっているということになる。まあ10に近いので、オーダーとしては経験則が当てはまっていることになる。結局1kmでアップが200mあれば、約20分かかるということがほぼ計算できる。ただし、常識的な最大の外れ幅が30%くらいある。つまり30分と読んでも21分くらいから39分程度までのばらつきがある。りかちゃんにプッシュしてもらった中盤の登りは予測値よりも16分も遅い。これも約28%の外れ。このあたりはトータルとして考えれば、許せる範囲だろう。
それでは3時間ロゲはどうだろうと、秦野弘法山を分析してみた。似たようなモデルで距離に登り(m)/100を足してみると相関係数がなんと0.97で、ほとんどこれだけで説明できてしまう当てはまりの良さだ。3時間ロゲでは、登りは平地の10倍ちょうどということだ。おそらく3時間という短い時間なので、負荷に逆らってスピードを維持することが可能なのだろう。まだ重回帰分析はしていないが、偏回帰係数は松代より小さそうだ。簡単に言えば時間が短いので、距離あたりのタイムも登りあたりのタイムも短いということだ。このタイム指標は、今後の参考になる。
(エクセルに、レッグ番号(任意)、距離(km単位。1.1程度の小数第一位まででよい)、登り(m単位でもkm単位でも可。明記のこと)、所要時間。分単位(3分30秒の場合は、3.5としてください)を送ってくれれば、上記分析やりますよ。偏回帰係数が重要な戦略上の指標となる。ただしミスが多いなどの場合、相関が低くなり、推定の精度は落ちる。またレッグ数はたいてい大丈夫だが、10とか15とかのように少ないとやはり推定の精度が落ちる)
最近のコメント