静大オリエンテーリングクラブの学生を相手に、新入生勧誘のためのワークショップをやった。15年前の僕なら、ありあまる知識をひけらかし、ああしろ、こうしたらいいと、「知識を詰め込んだ」に違いない。しかし、20年も教育学部に身を置き、昨今の社会状況を見ていると、それは確かに結果を出す最短ルートかもしれないが、もっと将来を見据えたくなる。
「今日知りたいことは、全て実は君たちの頭の中にある」それを引き出す手伝いをすることが、今日の僕の役目である、と前置きして、「まず、自分がクラブに何を期待して入部したかを考えよう」という演習から始まった。
「どうしたらその期待に応えることができるか、具体的な行動を考えよう」「オリエンテーリングの魅力を書き出してみよう」「魅力を3つにまとめ、簡潔に新入生に伝えてみよう」と演習は続く。
「うちのクラブはいろいろなところにも大会で旅行にいけるんだよ」「いろいろって?」「うーん。いろいろ」。ロールプレイで、そんなやりとりを聞いていると、付け焼き刃ではすぐぼろがでる。自分が真剣に取り組んでいれば、「実は裏山もすごくいいんだよ。君どこ出身?豊川?、愛知の三河地方って、林業が盛んなんだよ。そこの森がすごくいいんだよ。高原みたいな場所で川が二つの方向に同時に流れ出す場所があってさあ・・・そんなところ、普通の旅行じゃいけないでしょ。」なんて、嬉々として話せるはず。
「本気で勧誘するためには、自分が楽しんで、真剣に取り組んでないとだめなんだなと思いました」。最後の感想でそんなことを言った学生がいた。「新勧って、実は一番難しいよね。インカレなら、自分に能力がなければ成績が落ちるだけ。でも新勧は、自分自身のオリエンテーリングに対する全姿勢が試されるから」、手伝いに来てくれた松澤君を裏山の接待ランニングに連れ出しながら、そんな話をした。
新勧がうまくできれば、就活なんて、へっちゃら。あながち的はずれでもないだろう。
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