地図記号
まんじゅうから多様な等高線に進化した学生は、その後、ローカルな大会に出場した。帰ってきてからの彼女の第一声が、「先生、走りながら地図が読めるようになりました!」これまでの彼女がどのような地図読みをしていたかよく分からない。「地図を読む」といっても、単に地図を見ていただけで、そこから重要な何かを取り出すことが、走りながらはできていなかったのかもしれない。環境からの情報というのは決して、自動的に目や頭の中に入ってきているわけではない。プラン図を描くことで、それが走りながらでも自動的にできるようになったということなのだろう。彼女はきっと地図という記号の世界に、少しづつ血と肉がついて具体化してくるのを感じているはずだ。
数日前、附属の特別支援学校に依頼されて、中学生のための大学構内でのオリエンテーリングを実施した。彼らの中の半数は地図を理解することはできない。簡単にオリエンテーリングのルールを説明した後、「質問ない?」と聞くと、「この記号はなんですか?」といって聞かれたのは、緑の●、スプリントマップの植え込みであった。健常の子でも、質問を受け付けるとたいていこの記号についての質問が出る。彼は記号が何かを意味するということがちゃんと分かっていた。それ以上に、緑の●よりも一般的な記号である建物や道、その他スプリントマップ特有のたくさんの記号の多くは「分かっていた」と思われる。自分が記号の説明について、適当に流してしまったことを恥じるとともに、知的障害児に地図を教える可能性についての展望を与えてもらった。
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