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2010/03/13

ベーシック

 大日岳の遭難以来10年ぶりになる国立登山研修所の冬山リーダー研修が行われた。再開にあたっての安全検討委員会のメンバーになったことや、今後も改訂しなければならない研修所のナヴィゲーションカリキュラムのための情報収集のため、むりくり時間をひねり出してオブザーバーとして参加することにした。
 学生2人がなくなった事故の影響は大きい。再開に当たってテレビや新聞数社が取材に来るどころか、地元の山岳ガイドを雇って、冬山の中の1泊2日の研修を取材するというフィーバーぶり。
 冬山では雪で地形が見えない、変わっているから、夏山と同じナヴィゲーションはできないという人がよくいる。しかし、所詮、雪が積もっても2-5m程度で、辺り一面ほぼ同じ厚みでつもる(もちろん吹き溜まりはあるにしても)。それに対して等高線は10m間隔だ。雪の厚さなど省略や誇張の範囲内なのだから、夏山のナヴィゲーションが通じないことはなかろう思っていたが、全くその通りだった。むしろ藪もなくなり葉も落ちているために視界が開け、しかも、雪と空や木々のコントラストは大きくなるので、地形は読みやすいくらいだ。「夏と違う」という人は、夏には地形をよく見ていないので、「違う」という結論に至るのだろう。話を聞いた講師の人も全く異存はなかった。夏山でも、道だけでなく地形も見て進路を確かめることが冬山にもつながるベーシックとなるはずだ。

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(悪天候にならない限り、地形も分かる。コンパスで方向を確認すれば、進路の維持は夏よりも容易だとさえ言える)

 それにしても、雪の上では自由に通行できるので(もちろんラッセルは必要になるが)、夏なら藪で近づけもしない場所にある複雑な地形を確認したり、それとコンパスを組み合わせるナヴィゲーションの楽しさがどこでも味わえるのがうれしい。
 仕事ではあっても、直接学生の面倒を見る講師ではないので、気楽なものだ。いざとなればスーパーマンぶりを発揮する本部の山男たちも、トラブルがないので、いたってくつろぎモードであった。副主任のTさんは 、学生と話しを交わすでもなく、講師に指示を出す訳でもなく、やったことと言えば前日から手製のきりたんぽを準備して、山頂の夕食にし、スタッフを終始和ませたことくらいだ。
 そのゆとりこそが、安全の源の一つでもある。

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▲夕食は、なんときりたんぽ鍋。

このゆとりが講習の安心感にもつながる。

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