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2009/08/16

大地主

 赤石岳に向かう途中の大聖寺平に、東海パルプの立派な標識が立っていた。そこには畑薙ダムより北側の大井川源流部の静岡市域は全て東海パルプの所有であることが示されていた。東海パルプがこの地域を管理していることは知っていたが、それにしても、源流部全てが社有林というのが驚きだ。もともと地元の有力者が起こした会社なのだろうか。それとも地域との何か密接なつながりがあったのだろうか?その広大さを見ると、二軒小屋や椹(さわら)島で宿泊者のみにリムジンサービスを提供するという殿様商売にも合点がいく。
 不自然に広大な社有林の謎の一端は、最後の日に世話になった井川の田代地区の民宿で明らかになった。井川村誌によれば、明治40年ごろ、財産区の税金を払えなくなった田代財産区は、広大な土地を二束三文で東海パルプの前身、東海紙料に売ったらしい。このあたりの詳しい経緯を知ることが、広大な社有林の謎や、南アルプスの特異な交通事情を解く鍵になりそうである。
 外材の輸入で、日本の林業はとっくに瀕死の重傷に陥っている。赤石岳や荒川岳周辺では、相当な高度にまで林道が建設されているが、それも今や無用の長物になっているはず。東海パルプはこの広大な社有林を持て余していないのだろうか?「南アルプスを世界遺産に」という動きがある時、積極的にこの地域でのエコツーリズムを展開しようといった将来プランはないのだろうか?

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