8年目のスタートライン
最近、初心者向けの読図連載記事を執筆したり、改めて自分の読図の指導を見直す機会を与えられた。もちろん、これまでの講習会だって、常に出来る限りの知恵と工夫を絞って臨んだ。参加者からのフィードバックも悪くない。しかし、本当に初級者にとって分かりやすい情報を提供しているのだろうかという思いに駆られる。大学での研究領域でも、もう一度「学習」のことにきちんと取り組み直してみようと思い始めたからかもしれない。あるいは、自分自身がアマチュア無線の3/4級を取ろうとして、たまたま本屋にあったテキストを読みながら、初心者の気分を味わっているからかもしれない。ウェッブでの通信教育用のテキストを準備中で、読み返す度に説明の飛躍に唖然とする。
人が読図を学ぶ時、どんな知識を獲得し、それをどう使うことで僕たちエキスパートが行なっているような読図に達するのだろうか?まだまだ考えなければならないことは多いし、それによって講習の仕方にも工夫の余地がある。今日の講習でも、最新読図術を出して「読んでます」という受講者に出会った。少し申しわけない気分になって「難しいでしょう」というと、「3回読みました」という。今なら、1回で分かった気にさせるテキストが書けるだろうし、スキルを求めている彼らにはそれでいいのかもしれない。同時に、3回考えさせるテキストも決して悪くないのかもしれないと思う。結局、使う人自身が本で得られたアイデアと格闘しない限りは、グレイゾーンが支配する自然環境の中で地図を適切に使えるようにならないのかもしれない。本でも講習でも、獲得のための道具を提供するべきなのだろう。
最新読図術から8年。ようやくスタートラインに戻ってきた気がする。
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