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2009/03/12

至福の時

 休養日を終えると、大会も後残すところ半分となった。ロングに比べれば、ミドルは悪天候だけが問題で、競技運営自体は簡単だった。後半ともなると、後は淡々とこなすだけ、という気分になってきた。
 休養日には、セレモニー部門の田中さんが書をやっているお嬢さんを呼んで、海外選手に1枚300円で色紙に名前を書いてあげるサービスをした。最初は客の入りが悪かったが、書いてもらった選手が見せびらかしたりしたのだろう。後半になると、ひっきりなしに客が訪れた。たいていの選手が家族の分とか彼女の分とかを頼む。中には8枚も依頼する選手もいた。WOC2005の時にもこのサービスは好評を博したが、他では滅多に手に入らないものだし、目の前で書道家のパフォーマンスを見ることが出来るわけだから、安いものだ。翌日の夜には用意した色紙がなくなり、sold out。

 村越さんにも何か書きましょうというので、「ロゲインの上皇、村越真」と書いてもらった。
 前日の天気とは打ってかわって、リレーの日は青空が広がった。風は若干あるが、世界選手権のフィナーレにふさわしい天気だ。レースの日の朝は総務は、選手変更の届けに備えることくらいしかやることがないので、ようやく落ち着いて朝食が食べられるようになった。アトリウムでビュッフェの朝食を取り、窓の外のウォームアップゾーンで、選手たちがスキーテストをやっている。暖かい部屋の中でおいしい朝食を採りながらその光景を見ていると、満ち足りた気分になる。
 二日とも、ハンヌとアンティというフィンランドからの助っ人親子と同席した。彼らは6時からモビルでトラックを踏んで、8時頃そそくさと朝食をとると、再び山に入っていく。彼らはこうして10日間、毎日トラックを踏み続けている。
 10時、男子競技が始まった。日本チームは堀江、田中、高橋というメンバーだ。スタートして20分が経過したころ、携帯電話で連絡が入ってきた。堀江がトップを滑っているという情報だった。堀江はフィンランドのリレーでもトップで8位という好順位で帰ってきた。自分が世界のトップ選手をリードする瞬間はアスリートにとって至福の時に違いない(その時はそんな余裕はなかったと言っていたが)。実況をしていて、マイクの前で思わず「わお!」と叫んでしまった。
 その後堀江は順位を落としたものの、トップと1分の5位で帰ってきた。フットにしろスキーにしろ、入賞順位を記録したのは日本チームとして初めてのことだ。結果的には8位。壁と可能性、両方を感じたレースだったのではないだろうか?

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▲日本男子チーム8位でフィニッシュ

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