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2009/02/12

チャンス

 昭和30年代の相次ぐ山岳遭難に対処するために昭和42年に作られた文部科学省の登山研修所が4月から日本スポーツ振興センターに移管される。一時は廃止という話も出ていただけに、関係者としては、ほっと胸をなで下ろしたというところだろう。
 この研修所は立山の麓にあり、大学生の山岳部・ワンダーフォーゲル部や社会人山岳会のリーダーたちに、基本的な山岳技術を伝える研修会を通年で提供している(冬山については2000年の事故以来休止している)他、全国遭難対策協議会や指導者のための研修を毎年全国の3会場で共催している。山登りをする人の中でも知らない人の方が多いくらいの施設だが、山岳に関するナショナルトレーンニングセンターと言ってもよい研修機関なのだ。
 そういう視点からみると、JISを主管している日本スポーツ振興センターに移管されることは、施策の後退というよりはチャンスだと思える。組織内部の力学はよく分からないが、文部科学省が直営していた時よりは、ずっとフットワークが軽くなるはずだし、より広い層へのサービスが可能になるだろう。
 実際、来年度の行事予定を見ると、山岳遭難の実態を踏まえた安全登山普及指導者中央講習会が立山で2回開かれることになっている。その主たるテーマは「プランニングし、現在地やルートを確認し、道迷いや危険地帯への進入などの危険を回避するなど、チームを安全にナヴィゲートできる能力を身につけ、・・・」とある。「読図講習会は人を呼べます。お金も取れます!」と思わず専門調査委員会で力説してしまった。そういうサービスを提供することが、山岳トレーニングと研究の場としての登山研修所のステータスを一層高めることにつながるかもしれない。登山に携わる誰もが、あの研修所で一回でもいいから研修を受けてみたいね、そう思えるところまで研修所が降りてきたら、日本の登山も随分変わるのではないだろうか。

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