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2009/02/14

看板教授

 今年退官される歴史学の教授O先生は、この世界なら知らない人がいない教育学部の看板教授だ。NHKの歴史番組のゲストや時代考証の常連であり、彼を慕って受験する学生も少ないないという。業績調書の論文の欄が100を越えるは、まあこのクラスの学者としては当然だろう。しかし、驚いたのは著書が100冊を優に越えることだ。年によっては8冊も書いている。学部長をされていた平成13-14年ですら、13冊の本を書いている。
 最終講義を聴きにいった。学部で一番大きな部屋が満員だ。TVカメラが4台入っている。地元のTVがすべて入っていることになる。「すげー」、とつぶやいたら、そばにいた総務係長が、「こんなものじゃ済まないと思ってましたよ。立ち見がでないだけまし」と言っていた。
 この先生、すでに中学生のころには城跡や合戦が好きで、戦国史の学者を志していたらしい。しかし、大学で本格的に歴史の勉強を始めたころには、運悪く終戦直後。先輩からは「そんなの歴史学じゃない」などと言われたらしいが、それでもめげずに、人物に焦点を当てた、独自の戦国史研究を続けて今に至る。そのころは、きっと「プレジデント」あたりで「戦国武将に学ぶ人心掌握術」なんていう記事が人気を博す時代がくるなんて、彼自身想像もできなかったに違いない。今だからこそ先見の明があったとも言えるが、本人はそんなことにはお構いなしに好きで続けただけのことだろう。好きなことをして、それで生計がたって、さらには社会からも必要とされる。それはとっても幸せな人生に思える。その背後には、きっと語られない地道な努力があるのだろうけれど。
 僕の静大在職も今年でほぼ半分。サッカーで言えば、これからが後半戦だ。そう思うとここ数年のうつは、ハーフタイムみたいなものだった。後半戦に向けて、勇気づけられる話を聞いた。

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