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2008/09/13

答えは現場にある

 今週は講演三昧だった。木曜日には毎年引き受けているスポーツ指導者養成講習の中でスポーツ心理学の講義を担当した。翌日金曜日は、某地区の養護(保健室)教員研修で、学校での危機管理と事故の実態について話した。いずれも聴衆の反応は上々であった。講演はエネルギーを使うが、それに見合うやりがいは感じた。とりわけ養護教員の研修では、事故の前面に立つ養護教員や最終的に全てに責任を負う校長の出席だったので、身につまされる内容であったのだろう。真剣さと共感が混じったまなざしが心地よかった。
 講演でいつも残念に思うのは、質問が少ないこと。あってもおざなりなこと。質問によって、さらにこちらが潜在的にしか考えていなかったことが引き出されるという経験がほとんどできないことだ。これこそ、日本の学校教育の最大の負の効果と言えるのかもしれない。同僚との議論だって、実習現場だって、そういう質問が出たときこそ、自分自身の学びにもつながり、また受講者の学びも深まるものだ。たとえば、地図講習会で「徒歩道の破線のところは道が切れているのですか?」という質問があった。一見ばかげている。だが、そこには、記号の持つどの特性が現実を表し、どの特性が恣意的なものかという記号の本質に関わる問題が隠されている。それは、自分でも常に意識していることではあったが、この素朴な質問によって、この点を具体的に受講者に説明することができた。
 「答えは現場にある」。これは今週終わった「コードブルー」で利き腕を失ったフライングドクターが見習いの悩みに対して言った言葉だ。同じことはどんな現場にも当てはまる。教えるべきこと、学ぶべきこと、その答えは現場にある。質問によっては、一方通行的になりがちな講演ですら「現場」になりえる。

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