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2008/03/31

O-Forum

全日本の前日、「読図講習会を開こう」というテーマでO-forumの講習を提供した。昨年を上回る30人以上が受講し、熱心に聞いてくれた。参加者の漸減傾向、登録人口減少など、ネガティブな状況の中でこれだけの人がオリエンテーリングの魅力とそこに蓄えられた資産を発信していこうと考えていることに勇気づけられた。

 これなら本当に日本人(少なくとも登山者)の地図読みは変わっていくかもしれない。たとえば10年後、本当に山岳遭難のうちの道迷いの割合が減るという現実を見てみたいものだ。

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岐阜県での事例を話す牧ケ野氏

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忘れ物

表彰式後のインタビューというのは、たいていの場合凡庸でつまらないものだが、語り手に語るべきものがある時には、どんなつまらない質問でも、胸を打つものがある。昨日の全日本選手権の優勝者カッシーのインタビューもそうだった。

 「自分はもう終わった選手だ」そう思ったこともあるが、「2005年に忘れものをした」そして、世界選手権にも「予選通過という忘れ物がある」。その忘れ物を探しに、彼は今年背水の陣で臨んだ。連覇というプレッシャーの中、翌年はすでに全日本のプランナーに名乗りを挙げ、実際に仕事も始めている。来年はない、そうやって退路を絶った中で、彼は見事に史上3人目の全日本での連覇を成し遂げた。

 僕が、ノルウェーで世界選手権最高の思い出を作ったのは37歳。彼が忘れ物を見つけるチャンスは十分にある。

チャンピオンが選手権に臨む直前の心境も、読み応えがある。

http://fellrun.blogspot.com/

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表彰後のインタビューで、「世界選手権での忘れ物を探しにいきたい」と語るカッシー

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2008/03/28

チャンピオンがやってくる

昨年の山岳耐久の覇者、相馬さんが清水にやってくるという話しを聞いていた。僕は彼の所属を自衛隊と勘違いしていて、「あれ、清水に自衛隊あったかな?」と思っていたら、彼は海上保安庁の所属だった。接点のあるオリエンティアに聞いたら、なんと、うちの団地(公務員宿舎)だという。わー、嬉しい。もっと若いころなら一緒にばりばり走れたのにと思うと残念だが、しばらくは先輩面して日本平のトレイルを紹介しながら一緒に走れるかな。

 入試の仕事も今日でおわり。世界選手権を終えた時のような開放感がある。1週間くらいしたら、「あの時、緊張しながら仕事した日々が懐かしい」なんて思うのだろうか?

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2008/03/24

動きを考える

23日は、日本オリエンテーリング協会主催・日本山岳協会後援で、静岡で読図講習会を行った。少し前にプライベートに講習会をしてしまった関係か、受講者は10名と、定員の半分だったが、その分講習はやりやすかったし、受講者の満足度も高かったようだ。

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 いつもながら、地図からのナヴィゲーションのために必要な情報を読み取る作業が難しいということには、驚かされる。屋内の講義でも、「地形との関係」「方向」の読み取りと確認が重要であることを口を酸っぱくしていったのだが、それを読み切れていないで、「一本道をいく」程度の読み取りで済ませている。実際の山の中の道は地図にあるように一本ではなく、獣道が別れていたり、曖昧になっていたりする。その時手がかりになるのが、上のような情報なので。これは実際に歩いてもらい、後でのその場所のビデオを見てもらうことで、いい教訓にはなったかもしれない。事前のプランを、たとえ不完全でも書いてもらうことはそういう意味でも、いい気づきの場になる。

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 講習後は宮内と、クライミングジムにいった。車は彼女に運転させて、僕は走っていった。

 ただ登るだけでなく、ビデオを撮りながら、お互いの動きを比べながら、あそこはいい、ここは改善の余地があると話ながらのクライミングは楽しい。もともと動きをイメージしたり、それにあった動きをする事は苦手な方なだが、こうやってビデオで見、またエキスパートである宮内にポイントを指摘してもらうと、動きに対する感覚が高まるのが分かる。実際、前回一緒に行った時よりも、はるかにムーブはよくなっていた(東さんの本を読んでいったせいもあるが)。

 身体を使い込んで、久しぶりの心身リフレッシュ。やっぱり新しい刺激は常に受けていないと。

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2008/03/18

コンパステスト

 朝霧で講習を行った翌日は、山と渓谷の「山の小物実験室」という連載のため、コンパスのテストにつきあった。暇だった宮内を誘って二人で半日つきあって7000円の「モデル料」。経済的には全く割に合わない仕事だったが、前からコンパスの直進精度は確かめてみたかったので、興味半分でもあった。
 用意されたコンパスはプレートなしのものも含めて8機種。宮内は最大誤差1度!別に対抗心を燃やした訳でなく、「俺もやる!」といったら、宮内に大笑いされた。で、僕の平均精度が宮内の3倍だったということはどうでもよい。重要なことは、機種によって表示やリングの操作、進行線の見やすさに大きな差があるにも関わらず、直進精度がほとんど変わらなかった点だ。たぶん僕らエキスパートは、使いにくい機種ではそれに応じて慎重に使うからだろう。競技はもちろん、悪天候など、操作に時間的制約がある場面では、使いにくさが精度に影響する可能性はないとは言えない。また初心者ではどうなのだろう。さらなる実験を行ってみたいところだ。
 その中でも重要な発見は、プレートのない丸コンパスでも直進の精度はあまり落ちなかった点だった。もちろん、このコンパスはリングの中のノースマークを回せるタイプだったので、実質的にはベースプレートコンパスに準じた使い方ができる。だけど、これじゃあ、ただでさえ疑問のある日本のフィールドでのベースプレートの必要性に大きな「?」が着く。
 ライターさんとカメラマンは、山ケイのライターを引き受けるだけあって、いずれもアウトドアで活動をしている人で、取材が終わってからお弁当を分けながらのアウトドア談義も楽しかった。なんと、伊豆のA&Fカップにも出ていたのだそうだ。Img_4426s

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2008/03/17

野外活動指導者に読図講習

 北海道で、来年のスキーO世界選手権のアドバイザーの視察に対応した後、週末は朝霧で野外活動指導者の講習会を行った。本来野外活動の指導にナヴィゲーションスキルは欠かせないものだと思うのだが、指導員自身の関心も、それを子どもたちに伝えようという意識もあまり高くないのが、現状だ。その点から考えると、朝霧野外活動センターが、2泊3日の講習の中1日をまるまる地図とナヴィゲーションの講習にあててくれたことは画期的なことだ。
 午前中は、部屋の中での読図とコンパスの使い方の講義。午後は、実際の山麓を歩きながらの地形の読み取り、現在地確認、コンパスを使った方向維持を行った。登山者向けの講習とは違って、「地図で示したルートを中学生を引率する時の注意事項を、地図情報から考える」といった課題の方が受けがよかった。午後の実習をはさんだ、夜の方が等高線のとらえ方も進歩していたので、講習の効果はあったのだろう。若い受講生二人が、置いておいた読図ワークブックの初歩的なところを二人で熱心に取り組んでいたのが印象的であった。地図とコンパスが野外活動の安全のために重要であることは誰もが知っているが、地図を読む楽しさや奥深さも、きっかけがあれば気づいてもらえるようだ。

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2008/03/12

怒濤の原稿

エイ出版のYさんからタカタッタ(同社が出す新しいトレイルラン雑誌)の記事の依頼があって、ヤギ君と共著することにしていたら、さらに同社のアウトドア用フリーペーパー「フィールドライフ」の原稿をお願いしたい旨の依頼があった。すでに、測量協会から、学会誌で賞をいただいた論文の紹介記事を書いてほしい旨の依頼を受けていたし、締め切りが入試のクライマックスと一致する3月末だったので、お断りしようと思ったが、結局引き受けてしまった。考えを文章にすることはきっと嫌いじゃないのだ。

 そうこうするうちに、やまけいのライターから、「コンパス」の商品テストのコメンテーターをしてほしい旨の依頼があった。コンパスに一言言わせてくれるとあっては引き受けない訳にはいかない。OKの返事をすると、さっそく企画書が送られてきた。次号掲載。テストは15か16日にしたいだって!こんなタイトなスケジュールと分かっていたら、引き受けなかったよ。

 いずれも自分が専門とする分野の一画とあらば、おろそかにするわけにはいかない。一つ一つ地道に取り組んでいかないとね。

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2008/03/10

血まみれ

久しぶりに二日間の調査に入った。よくよく見ると膨大な残ったエリアを見て、入る前から終わるのかどうか不安と焦りの気分でいっぱいだった。おまけに眠い。昨日は弓道部のコンパで夜の作図が一切できなかったから、今日は帰ったら二日分の作図が待っている。それもまたプレッシャーだった。

 調査はなんとか17時に終わり、とりあえず24時まで作図してみた。作図は結局終わらず、しかも、今日くれる約束になっていた。西尾さんの調査範囲も届かなかった。

そんな伏線があったのか、明け方夢をみた。今時ロットリングでフィルムに作図している夢である。なんかペンのノリが悪い。あれ、これ調査用のフィルムじゃん、これじゃあ、ペンのらないよ。気づくと製図板が赤く染まってきた。どかしてみると、膝に大けがをして血まみれになっていた。

 使命感が強いと誉めるべきか、そこまで調査がストレスになっていると嘆くべきか・・・

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2008/03/08

誤算

インターハイの調査で村山口に入っている。たのう君、西尾さんという静岡屈指のメンバーで分割したので、楽勝と思っていたが、意外と手こずっている。よくよく地図を見れば、かなりの範囲を受け持ったのも原因だが、誤算だったのは、南側の中央の等高線が計曲線の高さも含めて、かなりいい加減だったことだ。よくこんな地図をWCのトレーニングマップとして出したよな。さらに難物だったのは、ロブが南に付け足した範囲のところで計曲線をいい加減に処理していたため、あちこちで計曲線が合わなくなってしまい、それを合わせるために高度計まで持ち出す始末。

 自分でも予期していなかったのは、世界選手権の調査ですっかり丁寧な調査が身にしみてしまったことだ。手抜きしよう、ここはいい加減にはしょろうと思っても、どうしても目がとらえ、手が動いてしまう。これも、意外に時間が掛かった大きな要因であった。

 今日も、朝から敗色が濃かったが、やっぱり、半日分残ってしまった。久しぶりの休日のはずが・・・。世界選手権以来久しぶりのまとまった調査となった。

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2008/03/04

前期入試が終わった。センター試験を含む入試は少なくない国立大学でミスを出し、中には数年前の山形大学のように、受験生に億単位の慰謝料?を払った大学もある。どこかの大学ではミスを隠して、責任者が懲戒処分になっている。その多くが、センター試験得点の比重や合計のミスによるものだ。委員会でのチェックを全て終えても、学部での会議の前の晩、不安になってもう一度得点を見直したりもした。何度チェックをしても、不安はぬぐえない。それまでやったことを振り返り、やるべきことは全てやったと、何度も自分を納得させた。

 その気分は世界選手権のレースを前日に控えた時に似ていた。あの時も、何度もチェックを積み重ね、レース不成立を出したら、世界選手権初めてのできごとになるかな、なんてことも思ったりした。それももう懐かしいほど前のことになってしまった。

 

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2008/03/03

都会の朝

 日本オリエンテーリング協会の理事会・総会のため、神宮外苑にある日本青年館に泊まった。理事会とスキーOの打ち合わせが終わって宿についた時には20時を回っていた。オリエンテーリングの現状の課題をもっとも知るものとして、それを統括する組織であるJOAの理事会や総会は、3年間常にストレスの場であった。ストレスを発散したくて、僕が大学生のころ、当時日本のマラソン界のトップにいた瀬古利彦が毎日走ったといわれる絵画館前の周回コースを走った。昼間の精神的疲労感の割には身体は軽く、気持ちよく走れた。
 朝起きると、窓の外には閑散とした森に囲まれた国立競技場と、その向こうに新宿の高層ビルが見えた。TVでは観客が入った競技場しか見ない。がらんとした観客席も、高層ビルの上に青空が広がる風景も新鮮なものに見えた。日曜日の朝には、見慣れた東京も、違う顔を見せる。400年前、徳川家康が今日に首都を構えた時、現在の都市の発展をイメージしてただろうか?その意志とは無関係に環境と最初に与えられた構造によって、都市は自律的に成長した。当時はのどかな谷津の小川だったであろう渋谷川の上に作られた曲がりくねった道路を歩いて、理事会・総会のある原宿に向かった。
 東京の奥深さに無意識が刺激されたのか、この歳にして自分の社会的な未熟さを感じ、またさらに成長していきたいと痛切に感じた。

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