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2008/01/28

2月に依頼された読図講習会のルートの下見のため、静岡西部の朝鮮岩から万観峰ルートにいった。朝鮮岩につくと、眺めのよいピーク上でコンパスを観て山の方向を確かめている人がいる。珍しいと思って挨拶すると、僕の講習を11月に受けた人だった。

 講習したことをこうやって実地に活かしてくれる人がいるのは嬉しい。このルートは最初の急登がきついので、今回の高齢者が多い講習には不向きだが、地形読み・地図読みのポイントはいろいろあるいいコースだった。人に教える機会は、自分が学ぶ機会をも作り出してくれる。今書いている読図本で連絡をとった平塚さんもそんな ことを言っていた。

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万観峰山頂からの眺め

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2008/01/24

無力感

 好日山荘の読図講習会の春のシリーズが始まった。平日の夜屋内講習を何度か行ない、最後に屋外で実地講習をするといういつものスケジュールだ。今日の講習では、整置がどうしても分からないという女性がいて、講習が終わったあとも、リピーターの受講者、店長を交え、その女性にああでもないこうでもないと説明をした。
 「自分が地図上で進む方向を自分の身体の正面にするのだ」とか、「その状態で、地図と身体の位置関係を変えないように身体を回して、磁針と磁北線が平行になるようにする」にしても、手続きで言えば明快だ。多分彼女が分からなかったのも、その手続き自体ではなく、それをなぜやるのか、どんな意味があるのか、という点だったのではないかと思う。
 整置は簡単そうに見えて、どんな講習会の時にも必ず「落ちこぼれる」受講生が出る。そのことは薄々感じて、ことあるごとにどう指導すればいいのか考えていた。今回受講した女性は、山で地図を読んだ経験が全くないが、トレイルランやトライアスロンをやっていて、チャンスがあればアドベンチャーレースもやってみたいという女性だった。それだけの意識があるからこそ、分からないことを「分からない」とはっきりぶつけてきたのだろう。
 彼女はなんと川崎から1時間の講習のために静岡に来ていた。そのことは嬉しかったが、彼女にそれに値するものを提供できたのだろうか。限られた時間の制約は自分にはどうしようもなかったが、彼女にナヴィゲーションの基本すら明確に伝えられない自分に無力感を感じた。しかしこの無力感は、指導者にとってはかけがえのないものだ。

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2008/01/21

センター入試

 丸二日間、朝から夕方までびっしり試験監督をしなければいけないセンター入試は、前から大学教員の間で評判が悪かったが、リスニング試験導入後、ますます評判が悪い。2000円以上もするICプレーヤーを一度だけ使うために配布し、全国一律の静穏な条件で実施するなんて、狂気の沙汰だ。もっとも韓国みたいに国を挙げてやって、その時間帯は飛行機の離着陸も中断する!なんていうなら別だけど。うちの大学でも、裏にあるガーデンウェディングで、夕方花火を上げるのを自粛してもらったりしている。
 受験生も受験生で、「途中で音声が(問の間で)とぎれることがあるが故障ではない」と言われているにもかかわらず、3回連続して音声がとぎれたところで手を挙げて、再開テスト(同じところからやりなおす)を繰り返した学生もいる。もっともこれは試験官の対応にも問題があったと思われる。
 小さなトラブルがあって、それに対するケアが必要なのは、オリエンテーリングのイベントと似ている。同じノリで、スキンヘッドで臨んで、最初の入試委員長の挨拶で「緊張で髪の毛が全部抜けてしまいました」といったら、大受けした。
 試験室から回収した答案を持って誰が一番最初に帰ってくるかも、最後には「レース状態」になって、緊張感の中にも最後は和気藹々と運営を終えた。これもなんだか世界選手権の時みたいだったな。直前憂鬱だったわりには、ほんのり楽しい二日間だった。

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2008/01/11

チームバチスタの栄光

 暮れから正月にかけては、ランニング三昧という訳にはいかなかったが、読書と書書三昧で過ごした。書き物の方は、歳が明けて大学の仕事が始まれば、入試の仕事に神経を奪われる。その前に3月刊行の読図本の骨格と肉付けくらいは仕上げておこうという魂胆だ。トレーニングに出た以外は、家に二日籠もって概ね片付け、更には正月に帰宅した実家でも、あまり頭を使わなくてすむ図版づくりを続けた。おかげでだいぶ進んだが、正月明けにはややぐったり。
 読書の方は、「チームバチスタの栄光」を大晦日から元旦にかけて読み切った。本来こういうベストセラーものは避けるたちなのだが、医龍2を見て興味を持ったことと、何より著者の海堂尊(これはペンネームで、本職は医者)が、ブルーバックスで「死因不明社会」という本を出していて、その帯に「『チームバチスタの栄光』は、この本を書くために生まれた」と書かれていたからだ。
 日本では、死者のうち死因が分かっているのはたった2%。先進国ではダントツの低さだという。もちろん解剖をすれば、死因は明確になるが、解剖は遺族の意志でできないこともある。それでは「死の教訓」が生かされない。それを補うのが、オートプシー・イメージングという画像解析技術なのだ。その普及を訴える手段として海堂氏は、「バチスタ」の中で、オートプシー・イメージングが事件解決の鍵になるというストーリーを展開している。
 そういえば、こちらも医者だが、石黒曜氏(これもペンネーム。ちなみに黒曜石をもじっている)も火山爆発を素材にした小説「死都日本」を書いてベストセラーになった。あまりにリアルな描写に、火山学者からも絶賛されていた。
 オタク的なネタこそ、人間や社会の根幹に関わる主題と結びつけると、いい小説ができるということか。その意味ではナヴィゲーションにもマンガか小説にはうってつけの蘊蓄ネタがごろごろしている。祖母の願い通り、医者になっておけばよかったか・・・。

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