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2006/08/08

もうひとつのより道

 世界選手権のあと、僕はもう一つの寄り道をした。ノルウェーのオスロの友人の家に。26年前、オスロからコペンハーゲンに向かう列車の中で出会った彼女は、友人というよりもむしろ第二の祖母といってもいい存在だった。交通事故で息子を亡くした彼女は、愛する対象を求めていた。僕はその時列車のデッキに所在なく座って、おなかをすかせている貧乏な旅行者だった。偶然に一瞬接した僕らの人生は、思いの外長く交錯することになった。オリエンテーリングの発祥地であるノルウェーには、第二の故郷のように親しみを感じることになった。97年の世界選手権で僕がこれまで最高の成績を残せたのも、このことと無関係ではないだろう。 彼女の家に二日ほど滞在し、オスロ郊外の森にトレイルランにいった。ジャンプ台で有名なホルメンコーレンまで郊外電車に30分ほど乗ると、そこから果てしないほど森が広がっている。緩やかな台地上の深い森は、どこまで走っても飽きない。随所に人気のない湖がある。都心から15kmと離れていないだろう。独り占めに近い状態で、水浴びで疲れた身体を休める。 この寄り道の喜びを、理性でしか味わえないのが、やや寂しい。Nor2006h

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