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2006/08/30

講義の楽しさ

 1週間ほど前のことだが、文部科学省の登山研修所で、大学生夏山登山研修の講師を頼まれ富山にいった。前回は一日中の講義で、しかも前後に予定のつまった学期中だったので、泣く泣く講習だけで帰った。夏休みである今回、講習だけで帰る手はない。講習で使う写真を撮るという口実もつけて、立山に登った。
 ケーブルカーとバスで往復5000円もかかるが、そのコストを補って余りある景観のすばらしさだった。久しぶりの高山帯でのランニングは辛く、バランスも今一つだったが、トレイルランを楽しみ、そして読図問題本にうってつけの写真をたくさんとって、下山した。心なしか、気分も軽い。
 研修所に戻って、一息ついて2時間ほど、全国各地から集まった学生を相手に講義を行なう。事前に専門職の小林さんが出題した読図問題の解答レベルは様々だが、概して食いつきはよかった。地図上に示されたルート上の各地点の現在地の把握にどんな特徴が使えるかという問題の答えは、素晴らしいものから、あれっと思うものまで様々だ。だがいろいろなレベルの答えが出てくることで、「じゃあ、どれが信頼できて、どれが信頼できないのだろう?」と考えるよいチャンスになった。僕らは現場では潜在的にそういう評価をしていることに、改めて意識が向いた。こういうところにインタラクティブな講義の楽しさがある(問題は近いうちに掲載予定)。

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2006/08/29

シングルトラック練習

 8月最後の週末は、里山アドベンチャーの練習で水上にいってラフティングと懸垂下降の練習をし、翌日月曜日は休みをとって、飯能で阿闍梨の利佳ちゃんとMTBの練習をした。里山アドベンチャーにはシングルトラックの区間もあるので、尾根上のサイクリングロードの脇につけられたシングルトラックをあえて走る。昨日のラフティングで水につかっていた時間が長かったせいか、体調も今一つで、最初はただ漫然とバイクに乗っていた。
 シングルトラックの最後の部分で、タイヤが横滑りしてしまって、スムースに通過できない場所があった。別にこけたりした訳ではなかったが、そこが気になった。これは練習すべし。
 何度か反復練習して、ある程度はスムースに通過できるようになった。利佳ちゃんは「村越さんは研究熱心だからね」というが、「スムースに乗れていない」という課題が明らかになったら、練習して乗り越えたくのが人情だろう。練習に熱意が持てないのは課題が明確でないことの証左でもある。
 利佳ちゃんが言うに、その日僕が反復練習の場所として選んだ2カ所は、いずれも彼女のいきつけのバイクショップの店長が、半月前に店の常連客と練習に出かけ、何度も反復練習した場所であった。自分のMTBに対する課題意識にちょっぴり自信が持てた。

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2006/08/25

香港のジュニアを迎えて

 1990年代の中頃以来、香港のジュニアとの行き来が続いている。1986年以来の友人である香港のパトリックとの間で、お互いジュニアが行き来できたら(当時香港には、十分なシニアエリート層はなかった)、互いに刺激になるね、と話ていたことが実現したものだ。日本からは2回、香港からはこの夏で3回目の来日になる。
 今回来日したジュニアの多くは、昨年12月にオリエンテーリングを始めた、初級者がほとんどで、その力量は日本のジュニアと比べても、やや隔たりがあるというのが率直な印象だ。
 それでも、彼らは熱心にトレーニングや室内での講習に取り組んだ。何より感銘を受けたのは、二人来ていた女子のコーチが、前回や前々回にジュニアとして来日した選手だったことだ。こういう形で互いの行き来が継続し、いずれはシニアレベルでも互いに刺激しあえる関係になれば嬉しい。

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2006/08/14

今年も草刈り

9月17日に開かれる三河高原トレイルランニングレースのため、草刈りを行った。そういえば昨年も世界選手権のために草刈りをしたような・・・。世界選手権を終えても、やっていることはあまり変わりない。

 午後になるとだいぶ暑くてくたびれる一日だったが、整備し終わったコースはかなり思い入れを込めて選定したものだけに感慨と達成感がある。世界選手権準備のさなか、地図調査を終えた夕方、好んで走ったコースだ。是非多くの人に味わってほしい。

(詳しい情報はhttp://www.aichiol.com/締め切りは8月20日)

Trail1 Trail2 Trail3

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2006/08/08

もうひとつのより道

 世界選手権のあと、僕はもう一つの寄り道をした。ノルウェーのオスロの友人の家に。26年前、オスロからコペンハーゲンに向かう列車の中で出会った彼女は、友人というよりもむしろ第二の祖母といってもいい存在だった。交通事故で息子を亡くした彼女は、愛する対象を求めていた。僕はその時列車のデッキに所在なく座って、おなかをすかせている貧乏な旅行者だった。偶然に一瞬接した僕らの人生は、思いの外長く交錯することになった。オリエンテーリングの発祥地であるノルウェーには、第二の故郷のように親しみを感じることになった。97年の世界選手権で僕がこれまで最高の成績を残せたのも、このことと無関係ではないだろう。 彼女の家に二日ほど滞在し、オスロ郊外の森にトレイルランにいった。ジャンプ台で有名なホルメンコーレンまで郊外電車に30分ほど乗ると、そこから果てしないほど森が広がっている。緩やかな台地上の深い森は、どこまで走っても飽きない。随所に人気のない湖がある。都心から15kmと離れていないだろう。独り占めに近い状態で、水浴びで疲れた身体を休める。 この寄り道の喜びを、理性でしか味わえないのが、やや寂しい。Nor2006h

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2006/08/06

仕事が詰んでいた出発直前は身体的にも辛く、正直出発するのをやめてしまおうかとさえ思う時もあった。トレーニングキャンプの数日も、まだその不調をひきづっていた。そのことを思い出すと、まあ尋常な状態で世界選手権を終えることができたこと自体夢のようなことのように思える。

 ミドルの予選を終えて、世界選手権で決勝を走るには、相当な寄り道が必要だと悟った。今の自分にはそれだけの寄り道はさすがに許されないだろう。リレーで他の選手より確実に遅いとも思わなかったが、確実に速いといい切ることもできなかった。少ない自分のリソースをチームが最大限に生かすには、立場を変えるしかないと、予選を終えて二日後ぐらいに決断した。男子チームは実力が拮抗していたから、そこから最善の選択をし、また選ばれた選手が力を尽くすには、もっとコミュニケーションが必要だと思った。日本語がまだ堪能でないロブ一人では、それは難しいだろう。

 その選択が少しでもチームに利したか、結果としてはよく分からない。分かっているのは、予選の成績と比べる限り、チームは力を出し尽くしたということだ。今回はコースも比較的ひねってあって、チーム間の差が大きくなっていた。目標とする順位をコンスタントに達成するには、裏を返せば大きな集団で推移するレースでも確実にその集団の中に身を置かなければならないということだ。

 組織のことも分かった1選手としてチームの中に身を置いて見ると、選手強化や派遣の体制についても改善しなければならないことは多い。世界選手権で多くのアジアの友達に会えば、そのために何かをしなければならないとも思ってしまう。

 この寄り道で、僕はたくさんの「おみやげ」を持ち帰ることになった。

 

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2006/08/03

不安と気迫

世界選手権スプリントとロングの決勝が終わった。スプリントでは、最後の力走も及ばずシモーネが3連覇の女王の座を手放した。優勝したのは、南半球に最初の世界選手権金メダルをもたらすことになったハニー・アリストンだ。優等生シモーネは「オーストリアの子が勝つのはいいことだ」と言っていたが、「スカンジナビアの女の子はなんとかしなくちゃね」と、辛口なところも見せた。

 今日のロングでは、途中、ノルウェーのマリアンヌにリードされていたシモーネがすペ苦テーターコントロールでリードを奪い、そのまま逃げ切ったシーンが印象的だった。スタート前には昨日の敗戦で、精神的にもきつかったそうだが、それを振り切る気迫が感じられた。

 こういう場面を見ると、それと同じ舞台で戦っていたいという欲求が沸いてくる。世界選手権は麻薬みたいなものだ。Woc2006b (写真はスプリントの決勝最終コントロールをパンチしてフィニッシュに向かうシモーネ。スクリーンがハニーのタイムまで8秒しかない(逆転の可能性は低い)ことを表示している。なお、この最終コントロールの特徴物は、昨年の日本のリレーでも最終コントロールを務めた「the little mermaid」

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