知のリハビリ
9年前腓骨の骨折をした時、5週間ギプスをした。5週間後、脚の筋肉はなくなり赤ん坊の脚のようにぷよぷよになっていた。ギプスのうちから自転車で心肺機能は維持し、ギプスが短くなってからは、クライミングマシンにも乗った。ギプスが取れた日、喜んで歩き回ったら、学内のたった300mくらいの距離なのに、夜いてもたってもいられないくらいの痛みがギプスをしていた脚を包んだ。使わなかったものを使うためには念入りなリハビリが必要なのだ。
気分障害が消えてから、元のとは言わないまでも8割ペースに戻したが、その後1月おきくらいにどかんと精神的疲労感から倒れそうな気分におそわれるのも、きっと鬱で萎縮した脳神経で、いきなりダッシュをしているからなのだろう。
7月のAPOCで韓国にいく時期にちょうど認知関係の国際学会があったので、申し込んでみた。APOCの準備もかなり危機的状態のようだが、国際学会の方も似たようなものだった。日本の学会を通じて査読の依頼が来た。2pほどのレジメを10編ほど読んでくれという。それも締め切り3日前ほどだ。この週末が空いていたし、運営者が人手不足で困ることはよく分かっているので、引き受けた。2p程度のアブストラクトの査読と、それに簡単なコメントを付ける作業は、言わば知のリハビリのようなもので、適度な認知的負荷をかけてくれた。先週のフィンランドでの学校見学やIOFの会議も今週の大疲労感の原因にはなっていたが、その後少し「走れる」感じにはなった。査読をしながら、自分の研究に置き換えたらどんな展開が図れるかなんてことにも考えが広がった。「ギプスを着けていた」ときには考えられなかったことだ。身体でも頭でも適切なリハビリをしてこそ、うまく動くのだ。
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