道迷い本改訂
2001年に出版して、現在では9刷を重ねている「道迷い遭難を防ぐ最新読図術」の改訂版を出そうと数年前から思っていた。他の執筆が一段落付いた今春、本格的に取り組み始めた。元々改訂版は出したいと思っていた。出版以来、講習会をしたり、新たな読図の記事を書く機会にも恵まれているうちに、初心者にとってどんな点で読図が難しいのかが、より詳しく見えてきた。そこで得た成果を取り入れることで、もっと分かりやすい読図教本ができるだろうという思いも強くなってきた。
全体的な構成や考え方についてはもちろん変わるところはないが、細かい部分や構成は手をつけたいところばかりになる。つたない文章、稚拙な構成等、読み返してみると、意気込みは感じるが、欠点も目に付く。20年前の自分の地図調査を見ているような恥ずかしい気分にもなる。
一番大きく手直ししたのは、地図利用の基本に関する部分だが、とりわけ等高線の読み取りは、様々な地図利用実験を行なったり、初心者指導を行なう中で得た成果を盛り込んだ。初版を執筆当時は、尾根・谷の弁別など当たり前の課題で、それがナヴィゲーションに利用できる比率は低いと考えていた。平塚氏が「1:25000地形図の読み方」で展開したような尾根・谷の弁別に中心を置く指導には疑問を抱いていた。だが、実際に実験をしてみると、尾根・谷弁別課題と空中写真を使った模擬的現在地把握課題の相関はかなり高い。現在地把握に失敗した人の理由付けや行動からも、尾根・谷の弁別の失敗が現在地把握の失敗につながっていることも確認できた。確かに、多くの枝尾根の張り出しを見ることのできる日本の山では、尾根の配置だけでも、十分に現在地把握は可能なのだ。新版では、初心者が陥りやすい尾根・谷の弁別の具体例についても盛り込む予定だ。
二番目に大きく手直ししているのは、現在地把握の章である。初版を書いている時には、「現在地把握とはどんな課題か」を理解することが初心者にとって最重要課題だと考え、原理面を強調した書き方になっていた。原理の把握は今でも重要なポイントだと思っているが、今読み返してみると、現実の動きの中でどう現在地把握をすべきかについて、もっと記述を割くべきだろうと思う。そのあたりのバランスと記述の順序は難しく、素材は同じなのに、全く違う仕上がりになってしまうかもしれない。
これもなんだか、自分の調査したエリアにもう一度入るのに似ている。前に描いた時には万全を期した等高線も、再び調査すると徹底していじりたくなってしまうのだ。
そんな週末を過ごしている傍ら、東京トレイルランでは、トランスジャパンも完走している高橋さんが、レース中心臓麻痺で亡くなった。尋常ではない身体能力の持ち主にも、悲劇は訪れる。一昨年(昨年?)の山岳耐久でも、心肺蘇生法によって一命を取り留めたランナーが出た。40-59歳のランニング中の突然死の死亡率は11.3/億人・時間なので、実はスポーツの中でそれほど高くはない(実数では年間30件くらい)。それに対して、登山の危険率は倍近い。トレイルランはまだ普及して時間が短いので、データの蓄積がないが、ランニングよりも危険率が高いように思う。実際どうなのか、気になるところである。
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